タルコフスキー「鏡」「惑星ソラリス」@早稲田松竹

早稲田松竹。タルコフスキーの睡眠導入二本立て。
2本とも映像が綺麗で、映画というより映像詩の感覚。

「鏡」のストーリーはあってないようなもの(というかよく分からなかっただけ)だがイメージは豊潤だ。水や火の音とフィルム傷がマッチしてた。
「ベルリン 天使の詩」と少し印象が重なる。ところどころ佐々木昭一郎を思いだしたり。

「惑星ソラリス」の詩的な感覚はレムの原作よりブラッドベリを連想させる。
未来都市を表した首都高のシーンが好きだ。編集と音響だけで結構それっぽく見せている。ああいうのがセンスなんだろう。派手な特撮は使わなくても充分SFは作れるという見本。
ただ、「凡百のSF映画とは違って」みたいに評されることが多くて、凡百のSF映画も好きな自分としては気分が良くないのだが。

一番凄いと思うのは音響のセンスと女優2人の存在感かな。

10月のF全集

藤子・F・不二雄大全集(第3期)10月の配本は「ウメ星デンカ1」「ポコニャン」「SF・異色短編1」の3冊。

長く続いた藤子マンガ出版氷河期中も形を変え再販され続けていたのは、コロコロ文庫の数作品と異色短編ぐらいなもんである。「オバQ」は読めないのに「劇画オバQ」だけが読めるという状況が続いたわけだ。酷い話だなぁ。
いつでも読むことができたという点を抜きにしても、異色短編は「あのドラえもんの作者のダークサイド」という文脈で語られすぎているような気がして、ちょっと食傷気味。

「ウメ星デンカ」はちょっととっつきにくい印象がある。

勝手に家に住み着く一家の行動を素直に笑えないというか、傍迷惑な連中だという感想が先に立ってしまう。
で、今回の解説は杉山佳寿子さんが書いているのだが、杉山さんは安部公房の「友達」を比較対象として挙げて軽く触れている。
面白い指摘で、「デンカ」が苦手だった理由も少しわかったような気がする。「デンカ」の不快感は「友達」のそれと同質のものだったのだ。極端な話、両作とも書かれている事象は同じで、体裁が小説か児童マンガかの差だけである。なんかすっきりした。
と同時に、F先生は公房をどう読んでたのか気になる。「あのバカは荒野をめざす」もあるし。「人間そっくり」なんかF先生が好きそうな話だと思う。

今回の3冊の中で一番期待してたのが「ポコニャン」

「ぴっかぴかコミックス」につづいて幼年版も収録。とにかくカワイイ。F先生のキャラクターの中ではチンプイ、コンポコと並ぶトップクラスの可愛さ。
帯にある「心がなごむ」は嘘じゃありません。どうしてこんなに柔らかくて綺麗な線が描けるんだろう。


「ミイ。」と鳴く。かわいい。

吉村公三郎「夜の河」@フィルムセンター

フィルムセンターにて、吉村公三郎監督特集。今日は「夜の河」

うーん、思ったほどではなかったかな。
特に音楽の使い方が肌に合わず。付けなくていいところまで音楽を付けちゃった感じ。
主役の二人がいい人過ぎて、わりと内面描写が淡泊なのと相まって物足りなく感じてしまったのかもしれない。
カラーを意識したと思われる染め物の色彩はとても綺麗だったし、もちろんお富士さんは綺麗すぎるのでそれだけで満足なのだった。

ルイ・マル「死刑台のエレベーター」「地下鉄のザジ」@早稲田松竹

早稲田松竹にて、「死刑台のエレベーター」「地下鉄のザジ」の二本立て。
おなじ監督とは思えない振幅の二本。本当に才能のある人は両極を内包してると思う。

「死刑台」のほうはサスペンスとして云々よりも、映像と音楽がカッコ良すぎ。パリの街並みと昔の外車、さらにはマイルスのペットとそれだけで無敵だが、ちゃんと夜が夜として暗いのがイイ。ブラッサイの世界。
ドイツ人夫婦を殺すバカップルには巧い子役なみにイライラさせられたが、男は「間違いなく死刑」になるらしいので一安心。
女の部屋の壁にゴッホの肖像画が飾られてるのがいかにもという感じで上手い演出だ。

「ザジ」はたまについていけなくなる感じが元祖「マジカル・ミステリー・ツアー」している。
90分でもちょっと長く感じたので60分ぐらいにしてもよかったかな。
街中で追っかけするシーンで、道行く人に混じって猫がザジ達を振り返り、呆れたようにトコトコ歩き出すのが映っている。
偶然なんだろうけど、一番好きなのはそこだった。

…それにしても、「死刑台」ってリメイクされたんだ。知らなかった。
阿部寛も仕事選べばいいのに。

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Sybylle Baier「Colour Green」

今日の収穫。Sybille Baier「Colour Green」

宅録本で知った一枚。
YouTubeで何曲か聴いてみて、静謐な弾き語りがVashti Bunyanぽくて気になっていた。
個人的にはヴェンダースの「都会のアリス」に出演していたという経歴で魅力3割増。
「都会のアリス」っていうのが絶妙。劇中のジュークボックスから流れてそうな雰囲気。ジャケも「アリス」や「さすらい」あたりに通じる空気感がある。

「これだけはほしい効果音楽全集」

「これだけはほしい 効果音楽全集」
池袋COCONUTS DISCにて。あまりにもモンドなジャケの佇まいに惹かれて購入。
4枚組のボックスだがdisc-4が欠品。でもそのおかげで安価だったのでOK。

1971年、キングからの発売。なんて言えばいいのか、もうジャケと企画趣旨から時代の匂いがプンプン漂ってきてます。
安田謙一氏がCecil Leuterのモンド名盤「Pop Electronique」を評して、「深夜にNHKアーカイブスで再放送される70年代のドキュメンタリー番組のバックに流れると嵌る音楽」と言っていたが、それと同じような。たとえば小学校の図書室の「学研のずかん」みたいな雰囲気。「ゴジラ対ヘドラ」的な世界。
書けば書くほどワケがわからなくなるが、そういう魅力。そういう魅力が一番下のピエロさんの笑顔あたりから強烈に放射されていますな。

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是枝裕和「奇跡」@早稲田松竹

やっと観れた「奇跡」
久しぶりの早稲田松竹で観賞。でも時間がなかったので同時上映の「誰も知らない」は諦める。一回観たからいいっちゃいいんだけど少し残念。

はっきり言って「幻の光」や「歩いても歩いても」を観た後のような強烈な余韻はなかったし、「空気人形」と同じくキャラクターの造型がちょっと類型的すぎる気もしたのだが、子供たちが熊本を目指して出発するあたりから、「ああ、やっぱり是枝監督の映画だなぁ」と。スクリーンを眺めてるだけでニヤニヤしてくる。
是枝監督の映画で好きなのはフッと挿入される「あそび」のシーンで、今回も子供達が空き地でコスモスの種を見つけたり、寝る前に脚でYMCAを踊るところが素晴らしい。
終らせ方の難しいストーリーのような気もしたけど、マーブルは生き返らせて欲しかったな。
あとくるり、主題歌は好きだけど音楽はまあまあ。

で、一番感動したのは本編ではなくエンディングクレジット。
「阿部寛  原田芳雄」の並びで「歩いても〜」の出演陣がせり上がってくるところ。「歩いても〜」の横山親子がまた共演してると考えると(共演カットはないけど)、とても嬉しかった。出演シーンは少なかったけど、やっぱり原田芳雄さんはカッコイイと思った。合掌。

ちょっと残念だったのは寺島進さんが出てなかったこと。次回はぜひまた出演して欲しい。