少年ビッグコミックス版「エスパー魔美」

F全集が刊行される前の十数年間、F作品の出版状況はとても寂しかった。読めるのはてんコミやコロコロ文庫に入ってる作品だけ。たまに新刊が出てもそれは既刊からのセレクトか装丁替えだけ。
そんな中で、『エスパー魔美』だけは文庫判とはいっても全話読める貴重な存在だった。もちろんF先生絶頂期の作品だから全話ハズレなし。
かといって、コロコロ文庫だけ揃えれば済むかと言えばそうもいかない。やっぱり単行本で集めたくなる。結局古本を集めることになるのは他のF作品と同じ。

しかも『魔美』は、集める愉しみも他の作品を上回る。例のマンガくんコミックス版と少年ビッグコミックス版の装丁違いのおかげ。
少年ビッグ版の6、7巻はそれなりの値段でネット古書店に出ていたのを買った。でもいちばん希少な8巻はヤフオクで定価以下で買えた。たまにこういうことがあるから愉しい。

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例によって8巻の中身はマンガくんコミックス。少年ビッグ版の本体は存在するんだろうか。

増村保造「妻は告白する」「偽大学生」@早稲田松竹

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早稲田松竹にて、増村保造二本立て。
どちらも登場人物のバイタイリティが凄い。増村映画における普通のテンションは他の邦画なら振り切っちゃってるレベルのテンションである。

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「妻は告白する」
若尾文子は美しすぎるほど美しい。
あの状況で下にいるのが小沢栄太郎ならザイルを切らない方がおかしいだろう。もちろんそういう自明の理(?)すらも揺さぶってくるのが増村保造の増村保造たる所以。
有罪ならムショ行き、無罪でも夫殺しの事実は消えない。彼女が望むように川口とずっと一緒に暮らすとしたら誹謗中傷も社会的地位も無になるだろう。八方塞がりの状況で発狂しそうな彼女の演技は凄まじい。文字通り鬼気迫る演技。
なのだが、それでも若尾文子の愛が狂気の域まで達しているとはどうも思えない。川口浩のような当たり障りのない、常識的な、いわゆる日本映画的な人間と対比するからそう見えるだけじゃないだろうか。
ラスト、息を引き取ってからのシルエットが美しすぎて少し気味が悪いぐらいだ。
本作は小沢栄太郎のための一本でもある。
完璧なまでの憎まれ役。妻のことを「本当は可哀想だと思ってんだ」とふと洩らしたりするので一筋縄ではいかないのだが、そんなことはすぐ忘れてしまう程、殺されるべくして殺された人間を演じ切っている。

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「偽大学生]
オープニングクレジットで原作が大江健三郎と気付きオエーとなるが、これはヘヴィすぎる傑作。
その場の軽率な考えで嘘を重ねるとこうなるぞ、の見本みたいな映画で、そういう意味で身に沁みる。ただジェリー藤尾の場合は一概に軽率な判断ではなく、神経衰弱になるほど追い込まれて吐いてしまった嘘だから余計に悲惨だ。
とにかく歴史研究会の連中の言動に組織としてのリアリティがある。立場が上の船越英二や伊丹一三(インテリ役ハマり過ぎ)ほど危ない場面では上手くすり抜け逃げてしまう。悪い奴ほどよく眠る。
論理だけが肥大化して行動と分離していく。一番ナンセンスなのはお前らだよ、と言いたくなるのはいつの時代の学生運動も同じ。
最後割り切れないままの若尾文子も秀逸。個人的には中村伸郎の助演が嬉しかった。

Jungle Smile「流星スペクタクル」

12年ぶりのジャンスマの新曲。冷静に聴けるわけがない。

イクノフの「やわらぎ」に近いアコースティックなアレンジだけど、リズムの処理やシンセの使い方が吉田印。
そしてサビのハモリ!この時をずっと待っていたんだ。

「ザ・スパイダース・アルバム No.1」

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スパイダースの名盤1st。GSというよりガレージ、ガレージというより正統派ブリティッシュ・ビートって言いたくなる素晴らしいアルバム。
発表が66年というのが凄い。イギリスの後追いではある。しかしアメリカより僅かだが先を行ってる。蜘蛛の巣のように張り巡らされたムッシュ他メンバーのアンテナの感度の良さに感嘆する。

このアルバムに関して昔から気になっていたことがある。自分が初めて買ったのは76年の再発盤LPなのだが、よくよく見るとジャケット写真がテイク違いなのだ。

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ムッシュとカッペちゃんを見ると違いが分かりやすい。上がオリジナルで、下が再発盤。

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ジャケ作り直すときに写真を間違えたんだろうか。ひょっとしたら有名な話なのかもしれないけど、一応upしてみた。