「安部公房講演 小説を生む発想 – 『箱男』について」

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なかなか見かけない、安部公房の講演が収録された新潮カセットブック。
オークションで運良く購入。
音自体はYouTubeにも上がってるし、全集30巻のCD-ROMに収録されてるかもしれない。

第一声こそ、ものすごく不機嫌そうな“大御所作家”な感じ。それも最初だけで、客を掴むのが上手いし話も面白い。
『箱男』について、まだ刊行前なのにネタを明かし過ぎな気さえする。
とはいえここで話してる内容もまた創作かもしれない。どこまでが事実でどこからが韜晦なのか、推測するのも一興。

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「別冊映画秘宝 特撮秘宝 Vol.2」

相変わらず絶好調。狂った雑誌第2号。

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昭和ガメラを掘り下げた本(特にキャストのインタビューとか)はあんまり読んだことがないので新鮮。紛失したと思われてたネガもつい最近出てきたばっかりみたいだし、『大魔神』三部作で研究読本を作ってほしい。

『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』の誌上ロードショーも凄い。誌上ロードショーなんて懐かしい響きだけどやっぱりワクワクする。
実際観ちゃったらそんなでもないかもしれないが、ブルーレイ化が楽しみ。

中野照慶監督の傘寿記念特集と同じ号に、「大特撮」についての記事が載ってるのも因縁か。
中野監督があの本に相当傷つけられただろうことは、「すばらしき特撮映像の世界」なんかを読んでもよくわかる。いくらなんでも偏見丸出しのボロクソな評価が、それなりに影響力のある名著に載っちゃったのは残念なことだと思う。
それにしても『メガロ』の原っぱが満州の原風景と繋がるとは思わなかった。『けものたちは故郷をめざす』とも深層で繋がってるわけだ。おもしろいなぁ。

次号も意表と重箱の隅を突いた内容を期待します。

パパパパパフィー

なんでかわからないけど最近PUFFYばっかり聴いてる。
特に初期の曲は元ネタ探しが愉しい。

puffyamiyumi
8cmシングルもジャケが可愛いのでまとめて買った。

家族で出掛けた時にFMから流れてきた「これが私の生きる道」は、なぜだかすごく印象に残ってる。
まだ自覚的に音楽を聴いていたわけじゃない(伊福部先生を除く)ので、CDも買わなかったしファンにもならなかったけど、強烈なビートルズ・フレーバーに感じるところがあったんだろう。
その頃(97〜98年頃)の音楽で、後になって聴いて好きになったものは他にもたくさんある。TMGE、スーパーカー、スピッツ、ミスチル、等々。
ミリオンやらダブルミリオンやら、信じられないくらいCDが売れてた時代なので、耳に入ってくる機会もたくさんあったはず。でも全然記憶が無い。かろうじて記憶にあるのが「これが私の生きる道」と大滝さんの「幸せな結末」。

なんでなのかよくわからないが、逆の意味で自分の耳への信頼に繋がったりもする。
たとえば96年の『モスラ』の挿入歌が本当に好きだったのだが、その作曲が矢野顕子だったことを後々になって知ったり。細野さん人脈を辿っていって、ヒカシュー、ゲルニカあたりから伊福部先生に回帰したり。
意外と昔から聴いてるものは変わってないんだと思う。表層が変化するだけ。

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坂口安吾「オモチャ箱」

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創作論を交えながら、牧野信一が自死に至る軌跡を描き切った短篇。
恩人への感謝、共感と、それゆえの凄まじい憤り。この作品も中盤まではいつもの文体なのだが。
どんなに自殺者を軽蔑していたところで、浅くない親交があった人間が自殺すればやっぱり…。
そんな最後の数行が本当に哀しい。

牧野(三枝)の悲愴さとは別に、安吾の創作論にはすごく焚き付けられる。
それはそうだ、創作=生き方だから。

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永井荷風「おもかげ」「再会」

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『ふらんす物語』中の小品二篇。

「おもかげ」は絶品。こういう零落した女性の美しさを書かせたら荷風の右に出るものなんかいない。
フランスで娼婦を見る眼差しも、日本で娼婦を見る眼差しも変わらない。
暖かさはあるけど安易な共感や同情はしない。その背後にあるものを想像することに悦びを見出している。
だから冷徹でもある。常に観察者でいる姿勢を崩さない。

「再会」は、フランスにいることを意外なほど素直に楽しんでいる“自分”と、久しぶりに再会した友人の画家が抱える苦悩や諦観とのギャップが描かれる。
“自分”を荷風だと思って読み進めていったのですごく意外だったのだが、荷風の内面は友人のほうに投影されてるのかもしれない。
アメリカにいた頃はフランスでの暮らしを夢見ていたのに、いざ来てしまうと、この先には閉塞感しか感じない。
ありきたりといえばそれまでだが、普遍的な苦悩。

この友人を待つのは自殺しかない気がする。

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金子光晴『鮫』

『絶望の精神史』もちょっと手を着けただけで全然読み進めていないのに、金子光晴の詩集を買った。どうしても読まなきゃいけないような気がして。

mitsuharuworks

読めばスッと入ってくる平易な詩にもそれはそれで良さがある。
よくわからなくてもなんだか引っ張られる詩を読むとこれはこれで嬉しくなる。
金子光晴の詩は(時期にもよるんだろうけど)後者。

岩波文庫の『金子光晴詩集』には詩集『鮫』がまるまる収録されている。
まるまる収録されているからには凄い詩集なんだろうと、よくわからないまま読み進める。
まだよくわからないが、作者の強烈な日本人への嫌悪を嗅ぎ取ることは出来る。
嫌悪は日本人だけに向けられたものではないはずだけど、戦争体験で目の当たりにした日本人の醜悪さが底部にあることは疑いようもなく。

これは掘り進めないといけない。初読の印象がどこまで合っているのか、的外れなのか、見極めないといけない。
すごい詩にブチあたると駆り立てられる。

結局なにも書いてないエントリーだ。

「別冊映画秘宝 特撮秘宝 Vol.1」

この狂った本について書くのを忘れてた。

tokusatsuhiho

初期の「宇宙船」みたいな濃さ。いい意味でバカバカしいほどの熱量。
『セブン研究読本』の補足(?)部分は、セブンがどうこうじゃなくてカーマニア、ガンマニア以外には本当にどーでもいいような知識がたくさん。
なんの役にも立たないことを追い求める熱がステキ。バカ。

新作ゴジラについての部分はどうでもいいので飛ばして、川北監督の追悼記事やピープロの音響マンのインタビューあたりはすごく読み応えがある。
この濃さで季刊にしてくれたら最高だけど、編集者が死んじゃうよな。