溝口健二「雨月物語(4K復元版)」@角川シネマ新宿

新藤兼人の『ある映画監督の生涯』や、いくつかの評論を読むと、〈西鶴や秋成、近松を題材にした晩年の作品は溝口の本道ではない〉と評価してる人も結構いる。
その際〈溝口の本道〉として挙げられる戦前の芸道ものが自分には退屈だったので、〈溝口の本道〉ってなんなのか未だによく解らないのだが、『雨月物語』を再見したら、少なくともこれが本道ではないと言われる理由はちょっと解った気がする。

ugetsu

原作をきちんと読んだことがないのでどの程度脚色されているか解らない(本編の冒頭にも「新しい物語です」と出てくるし)。ただ、かなり海外の目を意識してるなぁと。
当然『西鶴一代女』の次ってことで力も入ったろうし、永田ラッパが張り切らないはずがない。

朽木屋敷を舞台にしたシーンは特に、〈わかりやすい日本らしさ〉を意識して撮っている気がする。能面みたいな京マチ子のメイクがそのものズバリ。
確かにちょっと外向きで、大映の戦略に乗って撮っているような感じ。溝口を知ってる近しい人からは〈気取ってる〉と思われる部分もあったのかもしれない。

あらためて観ると「浅芽が宿」と「蛇性の婬」のパートの繋がりが若干スムーズさを欠く気もしたが、これだけの作品なので大した傷じゃない。
宮川一夫の撮影も凄いが、音楽も含めた音響設計が素晴らしい。朽木の亡霊の声が徐々に大きくなってくるところなんかはかなり薄気味悪い。
森雅之もはやく気づけよ、とは思うけど、あんな京マチ子に魅入られたらおかしくもなる。

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