カフカ「巣穴」- 自意識のモグラ

『巣穴』が好きだ。永遠に完成することのない自作に執着する作家のようなモグラが好きだ。


(モグラなんだろうか。アナグマと言われればそんな気もする)

先行研究や研究史を見れば、この動物をカフカに当て嵌めたり、巣穴全体をカフカの著作物の隠喩と取る読み方は一昔前のもののようだ。
まあそれでも構わない。
カフカらしい主人公のカフカらしい物語としては、屈指のものだと思う。
ということはつまり、人類が滅び去るまで解釈に悩み続け、愉しまされ続けるだろうということだ。

文学ってこういうものだと思う。

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石川淳「至福千年」

「これ面白いのか?」と自問自答しながら読み進めてきたものの、3割ぐらい残してギブアップ。

最初のうちは面白かった。非人乞食を煽動して革命を起こすってアイディアに痺れた。所詮は左翼の幻想だとしても、幻想は美しい方がいいに決まってる。

が、事件→関係者による説明→事件→関係者による説明、のリズムが延々続くので流石に飽きる。
『狂風記』だって似たようなもんだったがあっちは面白く読めたのは、登場人物の魅力の差か、こっちは時代劇だから分が悪いのか。

期待してたぶん、ガッカリも大きい。次は何を読もう。

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エスニカンをめぐる冒険

冒険なんかしていない。コンビニで復刻版エスニカンを見て懐かしくなっただけだ。
懐かしくなったといっても、エスニカン発売当時は0歳だったので、エスニカンが懐かしいわけでもない。
オカシ屋ケン太こと泉麻人さんの『おやつストーリー』を思い出したのだ。
エスニカン、聞き覚えがある…あ、あの本だ。


『オリーブ』に連載されていた長寿コラムをまとめた一冊。
手軽に読める、どうってことのない一冊だが、個人的な思い入れがいろいろある、大切な一冊でもある。


エスニカンは、「ウマイけどエスニカンというよりメキシカン」で、「カラムーチョ」と大して変わらない、という評価。
それでも当時こういう切り口のポテチが珍しかったことは窺える。


だいぶ前に書いた文春文庫ビジュアル版のB級グルメシリーズの一冊、『世紀末大東京遊覧』にも、身近なものになり始めたエスニック料理が取り上げられている。このシリーズは何度読んでも愉しい。

今なら本格的なエスニック風味のポテチも作れるだろう。個人的には苦手なので期待もしない。