夏目漱石「夢十夜」

頭が疲れて眠れない晩に、漱石や荷風の小品はとてもいい。

久しぶりに『夢十夜』を読んだが、小品と呼ぶには存在が大きすぎる。
それをいえば『硝子戸の中』も『永日小品』もそうなのだが。

たとえば「こんな夢を見た」という一節は、ただの書き出しでなくて発明みたいなものだ。それ自身一篇の詩のようなものだ。
そこに漱石の暗部が凝縮した密度の濃い文章が連なるのだから堪らない。

刀で書いたような文章だと思う。長編だと、たまに冗長になりがちで、それがまた漱石らしくて良いのだが、この十篇にそういうところは一切無い。

そういえば初出は新聞紙上だったんだよな。これを読んでからお仕事を始めるってどんな気分だったんだろう。
自分には無理だ。

Paul McCartney「Egypt Station」

ポールの新譜はジャケが気に入ったのでアナログで買うつもりだったが、結局輸入盤CDに。
ハイレゾも試したかったけど…iTunesっていつになったらflacに対応してくれるんだろう。

最初はシングル以外ピンと来なかったが、何回か聴いてるうちに、捨て曲なしとまでは言わないけど結構いいじゃん、と思えるようになった。
どことなく『Flaming Pie』っぽい「Confidante」、76歳にして新境地の「Hand In Hand」、問答無用で「Fuh You」あたりが好き。「I Don’t Know」「Dominoes」もいい。
確かに全曲いい。

例によって歌詞をちゃんと理解できてるのか自信がないが、アルバム全体から達観というか無常感のようなものが感じられる。
たとえ焼き直しみたいな曲でも、ポールにはまだまだ曲を作って欲しい。この人が枯渇するとは到底思えないけど。
ライブも(行けるかわからないけど)楽しみだ。