夏目漱石「夢十夜」

頭が疲れて眠れない晩に、漱石や荷風の小品はとてもいい。

久しぶりに『夢十夜』を読んだが、小品と呼ぶには存在が大きすぎる。
それをいえば『硝子戸の中』も『永日小品』もそうなのだが。

たとえば「こんな夢を見た」という一節は、ただの書き出しでなくて発明みたいなものだ。それ自身一篇の詩のようなものだ。
そこに漱石の暗部が凝縮した密度の濃い文章が連なるのだから堪らない。

刀で書いたような文章だと思う。長編だと、たまに冗長になりがちで、それがまた漱石らしくて良いのだが、この十篇にそういうところは一切無い。

そういえば初出は新聞紙上だったんだよな。これを読んでからお仕事を始めるってどんな気分だったんだろう。
自分には無理だ。

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怪奇大作戦 Blu-ray化

遂に、やっと、『怪奇大作戦』がBlu-ray化される。


嬉しいことは嬉しいのだが、東映からのリリースというのが少し不安…。
ちゃんと丁寧にレストアしてほしい。

Amazonの商品詳細を見るかぎり、予告編が「青い血の女」だけなのも不満。
「狂鬼人間」は無理だとしても、「人喰い蛾」「壁抜け男」も残っているはずだし。
欲を言えば、『円谷プロ怪奇ドラマ大作戦』に再録されているのだから、どれだけ劣悪な状態でも予告編の音声は現存するはず。これもすべて収録するぐらいのことはしてほしい。

作品が作品だけに欲が出てしまう。
結局DUP版が決定版だった、なんてことにならないように祈ります。

松原タニシ「事故物件怪談 恐い間取り」

著者のことは知らないが、なんとなく面白そうな切り口だったので買った怪談本。

ちゃんと間取りも載ってるので、想像力を刺激してくれてそこそこ怖い。

ただ、事故物件にまつわる話は途中までで、あとはただの心霊スポット突入話や、著者が耳にした怪談になってしまう。
尻すぼみな印象が残るし、ちょっと看板倒れだと思った。惜しい。

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The Who「Amazing Journey – The Story Of The Who」

08年に公開された傑作ドキュメンタリーの、こちらは影の薄いサウンドトラック。

国内盤は発売されなかったし、選曲も微妙なので仕方ないか。
でも一応は手許に置いておきたいと思って公開当時に買った。
(アナログ盤も欲しいのだが見かけたことがない)。

今日久しぶりに聴いていたら、「The Song Is Over」で違和感を覚えた。
イントロのあと、不自然に音が絞られる感じがする。マスタリングのミスか、単に気のせいか。
ミックス違いでも収録されてたらサントラの価値も上がったのに。

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安曇潤平「山の霊慰記 黒い遭難碑」

やっぱりこの人は文章下手だなぁと思いながら読了。

文章のリズムが自分とは合わないので、そっちばかり気になって内容が頭に入ってこない。だから怖くなれない。
それでも「乾燥室」とか面白い話もいくつかあったから、とりあえず良しとしよう。

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Paul McCartney「Egypt Station」

ポールの新譜はジャケが気に入ったのでアナログで買うつもりだったが、結局輸入盤CDに。
ハイレゾも試したかったけど…iTunesっていつになったらflacに対応してくれるんだろう。

最初はシングル以外ピンと来なかったが、何回か聴いてるうちに、捨て曲なしとまでは言わないけど結構いいじゃん、と思えるようになった。
どことなく『Flaming Pie』っぽい「Confidante」、76歳にして新境地の「Hand In Hand」、問答無用で「Fuh You」あたりが好き。「I Don’t Know」「Dominoes」もいい。
確かに全曲いい。

例によって歌詞をちゃんと理解できてるのか自信がないが、アルバム全体から達観というか無常感のようなものが感じられる。
たとえ焼き直しみたいな曲でも、ポールにはまだまだ曲を作って欲しい。この人が枯渇するとは到底思えないけど。
ライブも(行けるかわからないけど)楽しみだ。