上原善広「発掘狂騒史 『岩宿』から『神の手』まで」

旧石器捏造事件については、記者会見の様子がおぼろげに記憶にある。
なんか見てるほうも胃が痛くなるような会見だった。
やったことがやったことだけに、叩かれても仕方ないとは本書を読み終わっても思う。

捏造事件だけを扱っているわけではなく、学閥やら権威やら、泥臭くて閉鎖的な戦後の考古学界の歩みを丹念に追っていく。
この泥臭い部分が、よくも悪くも人間的で面白い。

『フェルマーの最終定理』を読んだ直後なのもあって、閉鎖的な日本の考古学界は、あけっぴろげでいながら厳密な証明を重んじる数学者達の世界とはすごく対照的に感じられた。
そもそも比べちゃいけないものなのかもしれない。

読後感はそんなに良くはないが、読み応えはあった。