V.A.「I Hear A New World; An Outer Space Music Fantasy By Joe Meek – The Pioneers Of Electronic Music」

無人島レコードの1枚、Joe Meekの『I Hear A New World』の拡大盤。

いちばんの目玉は、60年当時、ミークが構想した通りのミックス・曲順で『I Hear A New World』が収められていること。
(RPMが91年に再発したミックス・曲順のものもいままで通り収録されている)
ライナーによれば白レーベルのプロモ盤から収録されたようで、RPM盤と顕著にミックスが違うものもある。
個人的には91年盤に親しんでいるので、曲順への違和感はあるが、オリジナルミックスを聴けただけでこの再発の意義はある。

ディスク1の終盤と残りの2枚には、有名どころだとDaphne Oram、Stockhausen、Pierre Henryなんかの音源が収録されていて、『an anthology of noise & electronic music』シリーズのような感触。
いかにも電子音といった風情のピコピコ音楽が愉しい。

国内盤は輸入盤に帯が付いただけ。ライナーの和訳ぐらい付けてよ。そのために買ったんだから。

宮内ふじ乃「物語る絵 トゥール〈アシュバーナム〉のモーセ五書」

大学時代好きだった授業のひとつが、宮内ふじ乃先生の装飾写本を読む授業。

確か黙示録の註解書がメインで、聖書に明るくなくても、独特の色彩や怖いような可愛いような絵を見ていく作業は楽しかった。

その頃を思い出したくて買った本。トゥールのモーセ五書を授業で扱ったかどうかは覚えてない(いちばん印象的だったのはベアトゥス写本)が、これはこれで魅力的な写本である。

絵の読解が面白いのはもちろん、まえがきとあとがきには先生の人柄が滲み出ていて懐かしくなった。

佐々木倫子「食卓の魔術師」

佐々木先生の初単行本にして、忘却シリーズの第一弾。

忘却シリーズ三編はもちろん面白いのだが、併録された「プラネタリウム通信」が、美人姉妹シリーズのパイロット版ぽい雰囲気もあって好き。
人間のちょっとイヤな部分が(生々しくならない程度に)描かれているあたり、作者の観察眼の鋭さが浮き彫りになっていると思う。

書き下ろしの「趣味の講座」は乗馬編。肩の力を抜いたエッセイ漫画も一級品。

遊佐未森「ハルモニオデオン」

遊佐さんのアルバムはまだ聴いてないのも結構あるが、今のところ一番好きなのは3rdアルバム『ハルモニオデオン』。

「山行きバス [道草ノススメ]」「暮れてゆく空は」を筆頭に、完成度の高いキャッチーな曲が並ぶ。
前作『空耳の丘』の骨組みはそのままに、アレンジやコーラスがより立体的になった印象。
特にコーラスワークは絶品で、ただでさえ透き通るような歌声が美しく交わる。
「僕の森」が特に好き。部屋真っ暗にして聴く。

外間隆史の作編曲能力は凄い。(遊佐さんと外間さんの関係は、小川美潮と板倉文を連想させる)
聴覚のご馳走だ。

ジャケットやブックレットも含めたアートワークも素晴らしいので、アナログで再発してほしい。

佐々木倫子「林檎でダイエット」

現実に疲れて、頭がイヤなことで一杯なときは、好きなものについて考えるに限る。

藤子F先生は別格として、佐々木倫子先生はいちばん好きな漫画家である。
『動物のお医者さん』に描かれている世界は自分にとっての理想郷だし、笑いのテンポとかセンスにもすごく影響を受けた。

『林檎でダイエット』も『動物のお医者さん』と同じくらい(か、ひょっとしたらそれ以上に)好きな作品集。
浅野姉妹が主人公の作品はたったの5本しかないが、すべて傑作。何度読み返しても面白い。
佐々木先生の作品が面白いだけでなく心地好いのは、いろんなところで言及されてるが、風通しの良いドライな人間関係にある。
この作品でもサバサバとした人間関係は徹底されていて、姉妹が主人公で恋愛が題材になったりもするのに、ちっともウェットにならない。
素晴らしい。

この5本で終わってしまったのが本当に惜しい。
願わくば続きが読みたい。雁子さんと鴫子さんなら、時代が変わってもマイペースに生きていてくれそうだ。

Love, Peace & Trance「LOVE, PEACE & TRANCE」

カモミール・ローマンをアロマディッシュに数的垂らし、部屋を真っ暗にして、ヘッドホンを着ける。
緩やかに睡眠へ移行する…はずがまったく眠れない。

そもそも『HOSONO HOUSE』だってトロピカル三部作だって『フィルハーモニー』だって『Omni Sight Seeing』だって『日本の人』だって、すべて孤高だ(形容矛盾)。
だけど、『LOVE, PEACE & TRANCE』も一際高いところに自分の中では居る。

いちおうリラックスするために聴くのだけど、いったん聴き出したら最後。
どうしたらこんな音楽が創れるのか、どうしたらこんな風に楽器を操れるのか、細野さんの頭の中はどうなっているのか。
不思議が押し寄せてくるとともに、耳のほうは出来もしない分析に躍起になり、リラックスどころではなくなる。

三人のディーヴァを従えた音楽の魔術師に出来ないことはない。そうは解っていても、何度聴いても驚くしかない。

で結局、チャクラや遊佐さんを聴き出して真夜中へ。

Hush a mandala ni pali.