成瀬巳喜男「乱れる」@神保町シアター

実は初見の一本。


語るところはいくらでもある。
『鰯雲』と同様に描かれる都市化とか、チンドン屋がスーパーの軽トラに取って代わられてるとか、白川由美さんの綺麗さとか、一平君のハマりっぷりとか、斎藤一郎の音楽とか。

でもそんなこんなはどうでもいいぐらい、デコちゃんが可愛い。
義理の弟の加山雄三より11歳年上の設定、実際の年齢でももう若くはない(それでも30代だと思うが)。
それなのにこの可愛さは異常だ。

弟に愛を告白されてからの〈女〉としての変貌ぶり、特に電話で泥酔した弟を心配する母性愛が爆発した口調が堪らない。
そして全編の重みを一瞬で凌駕してしまうラストワンカット。
(『草枕』のラストを思い出す。)

義理の姉に幻想を抱いている自分のような人間には、漱石の諸作と並ぶ猛毒だ。

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