Bobby Bridger「Merging Of Our Minds」

外出できないし、お店のほうも休業を余儀なくされてるので、当然レコードを漁りに行けない。古本屋にも名画座にも行けない。
生きてはいるが、死んでるようなもの。

レコードも古本もwebで買えるが、棚やワゴンを漁る愉しみは味わえない。
(愉しみ云々は別として、お店からすれば大変な状況だと思うので積極的に利用しようとは思ってる)


Bobby Bridgerという人の『Merging Of Our Minds』。
今年初めにユニオンのロックレコードストアで買った。
新宿のユニオンは行く機会が少ないので、他の店舗に行く時より、〈レコ屋に行くこと〉を楽しむようにしている。

たとえば他の店舗なら、見るものをある程度決めておいて、空いた時間に少しだけ覗くこともよくあるが、新宿ではそういうことはしない。
たっぷり時間がとれるときに行って、棚を隅から隅まで見る。
聴いたことも見たこともないけど、なんか引っかかってきちゃったブツを積極的に買う。
要は学生時代にやっていたけど最近はなかなか出来なくなっていることを、ここぞとばかりに満喫するのだ。

このレコードも引っかかってきちゃったブツ。
知らない人だしジャケは普通。クレジットを見てもPeter Drake以外知っているミュージシャンはゼロ。しかも状態が良くない。
じゃあなんで買ったかといえば、ジャケ裏のボビーさんのコメント。


引きがあるというか押しが強いというか。
「I hope you enjoy my sculpture.」である。生粋のミュージシャンというより、アーティストが表現手段のひとつとして音楽を選んだ感じ。
とりあえずこういう自分で完結しちゃってて、かつあんまり理解されてなさそうな人には惹かれる。自分に近いものを感じてしまう。

肝心の音はカントリー調で、アシッドフォークの棚にあったのにそれはないだろうって感じ。
でも、ネットオークションやweb通販だったら絶対に出会っていない一枚だし、あとなんかいい匂いがする。
レコード漁りの醍醐味。こんな体験が好きだ。

だから早くこんな状況は収束して欲しい。
早くレコード漁りにユニオンやココナッツに行きたい。
もちろん古本屋や名画座にも。

Wilko Johnson「Blow Your Mind」

ウィルコの新作は、前作『Going Back Home』やロジャーの新作と同じくデイヴ・エリンガのプロデュース。

(ジャケ最高!)

ウィルコみたいな人は金太郎飴なサウンドが持ち味だから、新境地みたいなものを求めても意味がないと思う。
実際1曲目の「Beauty」からお馴染みの曲調だ。

ただ、流石に一度余命宣告を受けただけあって、「Marijuana」なんかは闘病体験を経たからこその曲かもしれない。

これもロジャーのアルバムと同じくでかすぎる音圧がちょっと気になる。

Wilko Johnson@渋谷クラブクアトロ

ようやくウィルコに会えた。

14年の来日は、これで最後だからと頑張ってチケットも取ったのに、自分の体調が悪くて行けなかった。
なにしろ余命宣告までされている。遠からず死んでしまうんだから、もう二度とウィルコには会えないんだと思って諦めていた。

そこからの、本当に奇蹟としか言い様のない復活劇。
逝ってしまう人ばかりの中で、ウィルコは死の淵から戻ってきてくれた。とんでもない人だ。

ライブは…最高だった。
ソロは聴いてないアルバムも何枚かあるけど、基本はどの曲もシンプルでゴリゴリなロックンロール。
予習とかそういう下らないことは要らない。リフ、フィル、ベースが揃ったらあとは乗るだけ。

「Going Back Home」でやっとウィルコに撃たれた。嬉しかった。思わず笑いながら仰け反ってしまった。

ノーマン・ワットロイのベースも凄い。だいたい顔が凄い。
ポール・コゾフはチョーキングのときにガイラみたいな顔になるが、それに近いものがあった。
たまに弾きすぎて小節はみ出したりしてたけど、それがどうした。ロックンロールだ!

会える人には会えるうちに会っておかないといけない。
とにかく、Keep on Rockin’, Wilko!!

Ringo Starr and His All Starr Band@NHKホール

直前になってリンゴの来日を知ったので、慌ててチケットを取った。
前回の来日はチケットを取ったのに行けなかったので、今回は絶対行こうと。
なんたってリンゴも76歳。嫌なことは考えたくないし長生きしてほしいけど…ね。

ringoallstarrband

今のオールスターバンドで知ってるのはグレッグ・ローリーとトッド・ラングレンぐらい。
2人とも熱心に聴いてるわけじゃないし、他のメンバーに至っては申し訳ないけど誰?って感じだが、リンゴさえいてくれればそれでいい。

リンゴは有名曲を一通りやってくれた感じ。「Yellow Submarine」を合唱するのは理屈抜きで楽しい。
ただ、今でもいいアルバムを作ってるんだし、もっと最近の曲を演ればいいのにとも思う。そうすれば懐メロショーっぽさもずっと薄れるだろうし。
まぁ、ビートルズの曲はスタンダードだから懐メロ感はゼロだけど、他のメンバーのレパートリーからはそんな匂いも感じられてしまったので、そこが寂しいなぁと思った。

allstarrstage

そんななかで、贔屓目かもしれないがグレッグだけはちょっと違った。
「Evil Ways」「Oye Como Va」「Black Magic Woman」の3曲は、モーダルに広がっていく展開がバンドの息の合い具合をモロに示してくれて、すごく楽しかった。
(それでも演奏が終わると客席からは「リンゴォー!」って声が飛ぶのでなんだかなぁと思いつつ)

きっかり2時間。アンコールなし、途中で休むことはある。ただそれを差し引いてもポールに劣らずリンゴも元気だった。
まだまだ長生きしてくれそう。
最後にチョロっと「Give Peace A Chance」を演ってくれたのが嬉しかった。

Georgie Fame「Going Home」

個人的な体験と相まって聴きたくなるアルバムが季節ごとにあって、この時期はGeorgie Fameの『Going Home』。

goinghome

上手いのかどうかわからないが味があるボーカリストとしてのジョージーの魅力にスポットを当てた1971年のアルバム。
全曲ポップでシングルになりそうな曲が並んでいる。録音時期にも結構バラつきがあるらしいが、散漫な感じはない。
ジャケットのイメージそのまま、少し寂しいような切ないようなこの季節にピッタリ。


ベストトラックは「Peaceful」。レコーディングは69年だからちょっと古いが、アルバムの中でも浮くことなく収まっている。オリジナルのKenny Rankinより先にこのアルバムで知った。アメリカ人ソングライターの曲なのにいかにもイギリス的な風情を感じさせるのが面白い。
他にも「I Believe In Love」「It Won’t Hurt To Try It」「Sister Jane」「Happiness」「Stormy」etc…全曲名曲。
ぜひアナログで再発してほしい。

安レコ、安CD

最近はアナログブームの余波なのかちょっとずつ中古アナログ全体が値上がりしてるような気が…しないでもないでもない。

player
ビックカメラのフロアガイドから“CDプレーヤー”の文字が消えて、“レコードプレーヤー”の文字が復活するとは、今世紀初頭には誰が想像し得たでありましょう。

凝った再発を新品で買うのはもちろん楽しいし満足感も格別。
でも足下のダンボールから100円とか300円の盤をジャケ買いして当たりだったときの嬉しさもまた格別。というかレコード漁りの真骨頂はやっぱりこっちだと思う。
最近は安レコよりも100円で投げ売られてるCDを漁るのが楽しい。リセールバリューが無いのはアナログと同じだし、そのうえブツとしての満足感もほとんど無い。
でも90〜00年代の音もすすんで聴くようになったのは最近なので、全然知らないアーティストばっかりで愉しい。

100cds
今日買ったうちで当たりっぽいもの4枚。Orwellのアコースティック・エレクトロニカな感触は結構ツボだった。

逆に今いちばん高いのは90〜00年代のアナログだろうから、そこには足を踏み入れないように気をつけよう。

McGuinness Flint「McGuinness Flint」「Lo And Behold」

ディランのベースメントテープス箱はさすがに手が出ないので、最近買ったMcGuinness Flintの「Lo And Behold」をよく聴いてる。

loandbehold

ギャラガー&ライル脱退後のアルバムで、正式には〈Coulson, Dean, McGuinness, Flint〉名義みたいだ。このバンド名からも分かるメンバーのエゴの無さとか、ソングライターコンビが脱退しちゃったからディランのカヴァー演ってみました、って感じとか、リラックスして好きな音楽をやってる雰囲気が潔くて良い。これはファーストからずっと一貫してる。
押しが弱いって言えばそれまでだけど、スリム・チャンスあたりと同じで、本当に聴く人を気持ち良くさせてくれるバンド。

前作までのグリン・ジョンズではなくマンフレッド・マンのプロデュース。だから音響的な楽しみは少し後退してるけど、べつに音が悪いわけではないので無骨な演奏が楽しめる。タイトル曲はもちろん、どの曲も好き。

“ザ・バンドとビートルズを足して二で割ったような”と形容されていたのを知ってから聴いても、全然期待外れにならないところがこのバンドのすごいところ。もちろんビートルズの部分を担ってたのはギャラガー&ライルなので、この形容はファーストとセカンドの頃のグループに対するものだろう。

first

最初の2枚ではどっちかというとセカンドの方がジャケットの良さもあって取り上げられる機会が多いような印象がある。ただ個人的にはファーストの方が良い出来だと思うし聴くことも多い。どっちみち両方名盤には違いない。
メリー・ホプキンがカヴァーした2曲こそ彼女のヴァージョンのほうが好きだが、他の9曲はどれも名曲。メロディーも演奏もアレンジもこれみよがしな感じが無くて、聴く程に味が出てくる感じは“滋味に溢れた”って形容がピッタリだ。
ベストトラックは「Brother Psyche」「Bodang Buck」「Lazy Afternoon」あたり。特にBrother〜のホーンアレンジは物哀しくて不思議で絶品で、イントロを聴くたびになぜか初期のヴェンダースを連想する。

Georgie Fame「Rhythm And Blues At The Flamingo」

ずっと廃盤だったGeorgie Fameのファーストが、フリーソウル20周年記念でやっと再発された。しかも1000円。当然即購入。
GeorgieFameRBatFlamingo

この頃のジョージィの曲はベスト盤でしか聴いたことがなかったので、予想以上に熱いライブ盤で感激した。
オルガンがいかにもモッズ!って感じでカッコイイ。彼のアルバムでは「Going Home」が無人島レコードレベルで大好きなのだが、このアルバムも相当イイ線いってる。特にA面の流れがたまらない。

それにしてもユニバーサルの再発戦略はよく分からない。こういう定番でもすぐ廃盤にされてしまうものと、しつこく仕様替えして再発され続けるものの差は一体何?
この再発盤みたいに、たとえ解説書が規格番号さえ変更されてない前回の使い回しでも、安価でカタログを充実させるほうがヘンな高音質盤を撒き散らすよりよっぽど喜ばれると思うのだが。

Emitt Rhodes「Mirror」

毎日が全然楽しくないのでヤケ買いしに新宿ユニオンへ。ちょうど100円、300円セールやってたのでそこそこ買った。

Emitt Rhodes『Mirror』
宅録本やモンド本で気にはなってた人。YouTubeで聴けばいいんだけど、それは違うなって感じだったのでずっとお預けだった。

まさに亜流ポールだが、亜流と言っちゃうのは申し訳ないぐらいの佳曲揃い。サウンドやアレンジの感触もかなり『McCartney』に近くて、これはクセになる。
タイトル曲もいいけど、「Bubble Gum The Blues / I’m A Cruiser」のメドレーは詰め込み過ぎな感じも本家そっくりな名曲。

アートワークのダサイんだがなんだか微妙なところもポールっぽくていい。ファーストも探さなきゃ。