The Beatles「The Beatles」(UKオリジナルステレオ盤)

Beatlesのオリジナル盤コンプリートは、経済的に大変だし、自分の性格からしてキリがなくなりそうだから端から諦めてる。
ただ最近、ホワイトアルバムのリミックスを聴き返してフラストレーションが溜まっていたところに、なんとか手の出る価格のUKオリジナルステレオ盤と出くわして、つい手を出してしまった。

ジャケットは憧れのトップオープン。特にラミネートに傷みもなくコンディションも良好。
ポスターもポートレートも綺麗な状態。保護紙は無かったが、そんなことにこだわったらそれこそキリがない。

マトリクスは1/3/1/2。諸々の表記からすると3rd、4thプレスあたりだろうか。このへんもあんまりこだわらないことにする。
音は…凄い。09年リマスターのアナログ盤でもまあまあ満足していたが別物だった。

案の定ファーストプレスが欲しいとか思い始めてるけど、他になんにも買えなくなってしまうから、やめなよ。

マーティン・スコセッシ「ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」

気力を振り絞って無理矢理映画を観た。

3時間強の大作ドキュメンタリーだが、まだまだ触れてほしかったエピソードや曲もあり、ジョージの人生の濃度や交流の広さを思い知らされる。

また、ここに描かれたジョージがすべてではないだろうし。
もっと俗物的でロックスターな一面もあったはず。
そのへん、クラプトンやポールの言葉で濁してるのはズルいなと思いつつ、死者に鞭打つこともないとは思う。

晩年、自分の死期を見つめ、死を受け入れながら生きるジョージの姿は感動的。これからは『Brainwashed』を冷静に聴けない。

それにしてもジョージは羨ましい男だ。こんな力作ドキュメンタリーを作ってもらえるんだから。
先に逝ったジョンには、『イマジン』なんて凡作があるだけ。
今度作られる『Above Us Only Sky』も、またもやアスコットの『Imagine』セッション中心の映画みたいだし。
彼にもこれぐらい力の入ったドキュメンタリーが作られるべきだと思う。

「The Beatles – Super Deluxe Edition」

まぁ、今頃になって買ったんすけど、ハイレゾ視聴環境を整えてなくてサラウンドに興味がない身からすれば微妙な買い物だったかな、と。

イーシャーデモに関しては大満足。だけど、結局この1枚だけ売ってくれればいいわけで。
リミックスは『SGT』以上にイマイチだった。
例によってレココレでは鈴木惣一朗と直枝政広が絶賛してたけど、どこがいいのか解らない。3年ぐらいで賞味期限が切れそうな出来だ。3年ももたないか。

それでも、セッション音源は結構愉しめている。
ただ、一番好きな「Dear Prudence」が別ミックスだけだったのは残念。別テイクが無いから仕方ないらしいが。(リミックスも一昔前のJ-POPみたいな酷い仕上がり)
「Yer Blues」「Helter Skelter」あたりは驚いたし興奮した。
でもこのアルバムはアウトテイク多そうだし、量的に不満。

この商品に限ったことじゃなく、誰かしらコンパイラーの手が入らざるを得ないボックスセットは、結局欲求不満を高まらせるだけな気もする。
ディランの『Cutting Edge』とか、ベアファミリーのオールディーズものみたいに、残ってる録音物は全部出すぐらいの思い切りが必要なんじゃないか。
単にジャイルズとセンスが合わないだけなのかもしれないが。

Paul McCartney「Egypt Station」

ポールの新譜はジャケが気に入ったのでアナログで買うつもりだったが、結局輸入盤CDに。
ハイレゾも試したかったけど…iTunesっていつになったらflacに対応してくれるんだろう。

最初はシングル以外ピンと来なかったが、何回か聴いてるうちに、捨て曲なしとまでは言わないけど結構いいじゃん、と思えるようになった。
どことなく『Flaming Pie』っぽい「Confidante」、76歳にして新境地の「Hand In Hand」、問答無用で「Fuh You」あたりが好き。「I Don’t Know」「Dominoes」もいい。
確かに全曲いい。

例によって歌詞をちゃんと理解できてるのか自信がないが、アルバム全体から達観というか無常感のようなものが感じられる。
たとえ焼き直しみたいな曲でも、ポールにはまだまだ曲を作って欲しい。この人が枯渇するとは到底思えないけど。
ライブも(行けるかわからないけど)楽しみだ。

ホワイトアルバムのD面

去年『SGT』発売の際にジャイルズ・マーティンが言っていた通り、ホワイトアルバムも拡大盤が出る。
待ち遠しいような、それほどでもないような、微妙な気持ち。
イーシャーデモが良い音で聴けるのはもちろん嬉しい。

『Unsurpassed Demos』を売ったあとにこんなブートにも手を出してしまった)

ホワイトアルバムはオリジナルのステレオミックスが大好きなので、リミックスはたぶん2、3回聴いて終わりだろう。
あとは残りのスタジオアウトテイクをどれだけ楽しめるか。『SGT』よりは楽しめると思うけど、それでも何回も繰り返して聴くほどのものかどうか。

『SGT』は、結局ほとんど「Strawberry Fields Forever」絡みしか聴かなくなってしまった。
アウトテイクも聴き込めばいろいろ発見があるんだろうけど、そこまで耳良くないし、もともと好きな曲も少ないアルバムだし。

今回のDEではもうひとつ、ブルーレイにオリジナルステレオミックスのフラットトランスファーが収録されていないのが不満。
ま、オリジナルステレオミックスはそのうちまとまって配信されるんだろう、きっと。
と、そんな感じなのでまだ予約もしてない。HMVの40%オフキャンペーン待ち。


『SGT』もホワイトアルバムも構造は同じ、ってのは前に書いたが、そもそも『Please Please Me』だって、マーティンがバンドのライブを想定して曲を並べているから、実は1stだって同じだ。
バンドのイントロダクションがあって、いかにもコンサートのフィナーレらしい曲で終わる。
だから、最初のコンセプトアルバムは『Please Please Me』だと個人的には思う。『SGT』で目新しいのはコンセプト云々じゃなくて、「Reprise」があったことに尽きる。前例はいくらでもあったろうが、ビートルズほど影響力のあるバンドがやった、そのことが重要。

『SGT』は後付けのコンセプトに収まりきらない「A Day In The Life」があったおかげで、いろいろと深読み出来て愉しい。あれを“コンサートのアンコール曲”と解釈するのは、いくらなんでもつまらないと思う。
自分はコンサート全体が退役軍人ペパー氏の白昼夢だと解釈している。


レコードを深読みする愉しみなら、ホワイトアルバムのほうが上かもしれない。特にD面が好きだ。
D面は「Revolution 1」で始まるが、もともとこの曲と「Revolution 9」は繋がっていたのは有名な話。
そこで、「Honey Pie」「Savoy Truffle」「Cry Baby Cry」の間も通奏低音として「Revolution」が流れていると捉えてみると面白い。
こうすると「Can you take me back」は〈寄り道したけど「Revolution」に戻してくれないかい〉の意味を持つ。

ジョンの良心ともいうべき「Good Night」も、作者の意図を超えた意味を持ってしまう。
暴動そのものだった前曲に続いて流れる、ディズニーを模した音楽。
ほんのちょっと前に〈赤ちゃんはもっと泣いてお母さんを困らせなさい〉と、まるで暴動を煽るように歌ってたのに、今度はアメリカの保守中の保守に倣った曲調で、〈良い子はもう寝る時間だよ〉と歌っているわけだ。You didn’t see it.

たぶん、ジョンもマーティンも、終わりぐらいは綺麗に締めようと思ったか、単に他に置き場所がないからD面最後に持ってきたんだと思うが、「Revolution」の後に置かれたことで、曲が持つ意味がねじれてしまった。

たぶん探せばまだまだある。深読みは愉しい。

マイケル・リンゼイ=ホッグ「レット・イット・ビー」

00年頃からビートルズを聴き始めたので、『Let It Be』は常に〈そのうちDVDになるもの〉だった。
『Naked』は出るし、DVD版アンソロジーに鮮明な映像は入ってるし。ヘタにブートなんかに手を出すと損しそう。
で、そのままいっこうにソフト化されないまま18年。


いちおうはビートルズの映画なんだから、初見はきちんとした形で観たい、と思って我慢してきたものの。
最近はブートDVDなんかタダみたいなもんだし、ネット上にいくらでもアップされてるし。
もともと16mmフィルムだからリストアされても限度がありそうだし。
ということで風邪の暇潰しに観てみた。

あー、これはメンバーの許諾とかアップルとアブコの権利関係がどうとかじゃなく、つまんないからソフト化されないんだなと。
そう思わざるを得ない程つまらなかった。映画としてもダメ、ドキュメンタリーとしてもダメ。
こんなものを商品化するために金を投じるほど、アップルもバカじゃないだろう。

ヘザーとビリーがいないと何も出来ない男たち。
「Octopus’s Garden」を弾いてるとマーティンが来るシーンと、ヘザーがいるシーンだけは好きなので、たまにYouTubeで観るかもしれない。その程度。

口直しに『Magical Mystery Tour』を観よう。

A Day In The Life

とにかく「Strawberry Fields Forever」の制作過程(特にTake26)をいい音で聴けるってだけで楽しみにしてたSGTボックス。
ちょうど50年目の6月1日に届いた。粋なことを。


アルバムのアウトテイクは、数曲を除いてまあオマケみたいなものだが、やっぱり「A Day In The Life」はどのテイクも楽しみ。

8年前、ちょうどリマスター盤が発売された頃。
旅行先のフランスから帰国する飛行機のなかで『Sgt. Pepper』を聴いていた。その頃はスマホも携帯プレーヤーも持ってなかったので、機内の音の悪いプレーヤーで。

ウランバートルの上空あたりだったと思う。
「A Day In The Life」のオーケストラが最高潮に達して、一瞬の静寂。
最後のコードが鳴り響くはずが、聞こえてきたのは緊急アナウンスで、「乱気流のため急降下します」。

本当に心臓が止まるかと思ったし、次の瞬間これで死ねるなら完璧だと思った。
アナウンスの後、インナーグルーヴ。
「別格の名盤だから引き寄せちゃうんだな」と、よくわからない感動と興奮に浸っていた。

ホワイトアルバムもリリース予定があるらしい。
あのアルバムのステレオミックスは大好きだから、リミックスされるとしてもそれはやっぱりオマケみたいなもので、イーシャーデモと「Happiness Is A Warm Gun」の制作過程がいい音で聴けたら最高。

ただ『Magical Mystery Tour』~『Yellow Submarine』の時期も(まとめられるとすれば)、どんな形になるのか楽しみ。

とりあえずまとまった時間が取れるまで(いつになるやら)、『SGT』も楽しみにとっておこう。

The Beatles「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」(RSD2017)

今年のレコードストアデイは、欲しいブツが殆どなかった。寂しいけど懐には優しい。

唯一欲しかったのが「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」のシングル。
とはいえ、さんざん煽っといていつまでも売れ残ってるのがRSD商品だし、混んでるレコ屋は殺気立っていてイヤなのでのんびり構えてたら、早速結構な数がネットオークションに流れてきた。どこまで本当なのか、売り切れてて買えなかったなんてツイートを見ると落ち着かなくなってしまい…。

結局慌てて月曜日に都内某店に行くと、運良く数枚残っていた。
手に入れられたのは嬉しい。でも愉しいかというと微妙に違うんだよな。
普段レコード屋に来ない人を呼び込もうっていう趣旨は解る。でもそれが転売目的の連中だったら意味ないと思うよ。

あとこれ、オリジナルのモノミックスだったら最高だったんだけどなぁ。
ただシングルもアナログ再発されそうな雰囲気はあるから、気長に待とうか。

Ringo Starr and His All Starr Band@NHKホール

直前になってリンゴの来日を知ったので、慌ててチケットを取った。
前回の来日はチケットを取ったのに行けなかったので、今回は絶対行こうと。
なんたってリンゴも76歳。嫌なことは考えたくないし長生きしてほしいけど…ね。

ringoallstarrband

今のオールスターバンドで知ってるのはグレッグ・ローリーとトッド・ラングレンぐらい。
2人とも熱心に聴いてるわけじゃないし、他のメンバーに至っては申し訳ないけど誰?って感じだが、リンゴさえいてくれればそれでいい。

リンゴは有名曲を一通りやってくれた感じ。「Yellow Submarine」を合唱するのは理屈抜きで楽しい。
ただ、今でもいいアルバムを作ってるんだし、もっと最近の曲を演ればいいのにとも思う。そうすれば懐メロショーっぽさもずっと薄れるだろうし。
まぁ、ビートルズの曲はスタンダードだから懐メロ感はゼロだけど、他のメンバーのレパートリーからはそんな匂いも感じられてしまったので、そこが寂しいなぁと思った。

allstarrstage

そんななかで、贔屓目かもしれないがグレッグだけはちょっと違った。
「Evil Ways」「Oye Como Va」「Black Magic Woman」の3曲は、モーダルに広がっていく展開がバンドの息の合い具合をモロに示してくれて、すごく楽しかった。
(それでも演奏が終わると客席からは「リンゴォー!」って声が飛ぶのでなんだかなぁと思いつつ)

きっかり2時間。アンコールなし、途中で休むことはある。ただそれを差し引いてもポールに劣らずリンゴも元気だった。
まだまだ長生きしてくれそう。
最後にチョロっと「Give Peace A Chance」を演ってくれたのが嬉しかった。

Bruce Spizer「Beatles For Sale On Parlophone Records」

たいしたことじゃなくてもちょっと凹むと自分へのご褒美とか言って無駄遣いすることはしょっちゅうで、クリスマスぐらいはそういう淋しいことはやめましょうよと思ってたのにちょうどイヴに届きやがった。

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この人の本は絶版になると一気にプレミアが付いてしまう。だからせめてUK盤をまとめたこの本ぐらいは買っておきたかった。とはいえ新品でも結構な値段なのでずーっと躊躇してたところに格安でマケプレに出たのを見つけて後先考えずに即注文。

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ジャケットやレーベルの微妙な違いは大好物。眺めてるだけでも愉しい。
ほとんど眺めるだけのつもりで買ったが本文も易しいので、ジスイズアペン程度の英語力でも充分読める。
ところどころ拾い読みしただけでも面白い。

たとえばEPの話。
『Magical Mystery Tour』の価格を1ポンド以内に収めることをメンバーは強く希望していたという。パーロフォンも協力的だったようだ。ただでさえEP2枚組なんて特殊な形態なので、レコード会社としても価格設定でしくじりたくなかったんだろう。(最終的には19シリング6ペンス)
イギリスでは67年当時もEPはポピュラーだったと思い込んでたが、そこそこ売れていたのは(FAB4の場合)64年頃までらしい。
(『Long Tall Sally』以外のEPはアルバムとシングルを持っていれば必要ないし)
だからイギリスでも『MMT』がLPで出される可能性はあったのかもしれない。(Hello GoodbyeやFlying長尺版、ボンゾズの曲なんか入れて。もしくは先行したUS盤に倣って)

でもファンに無駄なお金は出させないように、なるべくコストパフォーマンスが高いリリース形態を追求した結果のEP2枚組なのだと思う。

forsalespizer2

実際、69年1月になってEPで『Yellow Submarine』のリリースが検討されたのも同じ理由からで、ファンが新曲4曲のためだけにLP1枚分の金額を払わなくていいようにEPをリリースできないか、ジョンとポールは腐心してアップルに訴えた。あれだけ険悪なゲットバックセッションの最中に。ここに到ってもファンへの真摯な態度は一貫していて、それは自分達がレコードを漁っていた頃の気持ちを忘れていないことの裏返し。
こういうエピソードを読めると嬉しい。結局は発売中止になっちゃうけども。

で、1ポンド。
調べてみたら、1967年はちょうど1ポンドが1008円から864円に移行する時期。『MMT』発売は12月なので、当時の日本円でだいたい900円前後か。
東芝音工の初版は1000円だからほぼ同じ。シングルの約3倍というところも同じ。LPならこの2倍ぐらいになってただろうから、確かに良心的。