フランソワ・トリュフォー「アントワーヌとコレット」「夜霧の恋人たち」@早稲田松竹

『アントワーヌとコレット』は好きだ。
オムニバス中の1本だから20分ぐらいでサクッと観られるし。


アントワーヌがフィリップスに勤めてるのがいい。ほんの少しでも当時のレコード会社の様子が判る。
というか、本当にあんな手作業で一枚一枚プレスしてたんだろうか。あのプレス機なら家庭用のものも作れそうだ。

アパルトマンでレコードを大音量で鳴らして喜怒哀楽はっきり表すシーンもいいが、アントワーヌがいかにもアントワーヌらしい表情を見せるシーンが好き。
世界の何事にも興味が無さそうな、でもたまにセックスしたい、みたいなあの顔。
カッコイイ。


『夜霧の恋人たち』ももちろん好き。
シネマブルースタジオとは違って、客席から笑い声が起こる。
どの映画館で“出会う”か、は大きいとつくづく思う。

フランソワ・トリュフォー「大人は判ってくれない」@早稲田松竹

早稲田松竹。いつもの席。落ち着く。


アントワーヌものでは『アントワーヌとコレット』『夜霧の恋人たち』のほうが好きで、本作はそんなに見返す機会がない。

ジャン=ピエール・レオーは巧いんだと思う。イラッと来ないだけで子役は巧いのだ。
でもなんか入り込めない。分析するのも面倒だし、相性の問題ってことにしてる。

高校時代に初めて観たときは、救いのない展開なのに音楽は可愛らしくて爽やかなのが不思議だった。いま観るとそこがいいんだなと思う。ヌーベルヴァーグだから、で済ますのも雑な分析だが、でもそんな感じ。観客や批評家に喧嘩売ってるような感じ。

突き放すようなラストも、あらためて観るとこっちが突き放されるようだった。

フランソワ・トリュフォー「夜霧の恋人たち」@シネマブルースタジオ

シネマブルースタジオはいつ行っても観客が10人いるかいないかぐらい。
純粋な映画館とはちょっと違うけど、ゆったり35mmフィルム上映で映画を観るには意外な穴場だと思う。

blue161130

〈ヌーヴェル・ヴァーグ・前夜〉特集の「夜霧の恋人たち」を観た。
アントワーヌみたいな人間には親近感を覚える。だから監督のアントワーヌ(とクリスティーヌ)への視線が暖かいことが嬉しい。過去の自分みたいなものだから当然か。

いい意味での裏切りなんかもなく、自分がトリュフォーに期待する映画どおりの映画だった。何も考えず多幸感に浸って、なんて豪華なコントだろうと思いながら観ていた。
たぶんもうちょっとお客さんが入ってれば笑いも起きるんだろう。そこがブルースタジオの惜しいところではある。

フランソワ・トリュフォー「暗くなるまでこの恋を」@早稲田松竹

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「暗くなるまでこの恋を」も悪くなかったけど、これはカトリーヌ・ドヌーヴだから観ていられるのかもしれない。言ってしまえば性悪女の話だし。
いろいろ不満のあるストーリー展開なのにドヌーヴが可愛くて許せてしまう。あれだけの美人を前にしたら誰だって破滅してしまうだろうさ。
ベルモンドってカッコイイのか疑問だったけど、この作品での役柄は結構奥手というか過去の傷を引きずってなかなか恋が出来ずにいる繊細な人だから、見るからに二枚目な俳優じゃなくて彼みたいなタイプで正解なのかもしれない。
基本的に破滅的な二人の逃避行を描いたストーリーは好きなのでとりあえず許せてしまう。
ラストシーンが綺麗、そしてフランスの車は見ているときが一番カッコイイ。

フランソワ・トリュフォー「映画に愛をこめて アメリカの夜」@早稲田松竹

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時間が空いたので早稲田松竹へ。
なんの事前知識もなし。トリュフォーも初体験。んでこれがものすごく良かった。

dayfornight

「アメリカの夜」はそれこそタイトルからしてなんのことか分からなかったが、いわゆる〈映画の映画〉だった。
映画製作に携わる人々とそこに起こる恋愛や事件や色々。
たぶん実際の現場なんてあんないいもんじゃないだろうし、色恋沙汰もそうしょっちゅうあるわけじゃないだろう。
でもこの作品は出てくる人すべて映画が好きでしょうがない人達なんだろうと思えて、それこそ全員に親しみを覚えてしまう。
スタッフ役の女優さんも可愛くて、特にスクリプターのナタリー・ベイが好きだ。
個人的には大当たりだった。「8 1/2」も「ことの次第」もそうだが、〈映画の映画〉は傑作揃いだ。その2本以外観てないからかもしれない。