ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー「デスペア 光明への旅」@アテネ・フランセ文化センター

神保町シアターで原節子×香川京子の2本を観てからアテネフランセのファスビンダー映画祭へ。

fassbinder2016
正直すごく観たいというほどでもなかったけど、あまり観る機会もなさそうなので行ってみた。
個人的にはデュラス特集以来(?)の結構な混みよう。

despair
観たばっかりの『あやつり糸の世界』と同じで、鏡を使った美術やアングルが面白い。ただそういう驚きは長く続かない。
ゆったりと進むストーリーを追っているといつの間にかアテネフランセに住む睡魔が横にいる。何度かウトウトしては主人公ヘルマンの叫び声に起こされた。ごめんなさい。

彼とフェリックスが入れ替わるシーンの緊張感(会場の緊張感かも)に目を覚まされ、そこからラストまでは寝なかった。オチは〈メタ〉が当たり前になる前は衝撃的だったんだろうけど、個人的には「それを言っちゃあ…」な感じ。
ストーリーは好みだけどテンポと芝居についていけなかった。原作を読んでみよう。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー「あやつり糸の世界 第1部」「第2部」@早稲田松竹

『2001年宇宙の旅』『惑星ソラリス』あたりに通じる、作家性の強いSF映画。

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ただ独特の映像感覚は強くあっても、それ以上に娯楽としての性格を優先したような作品だった。

仮想世界を生み出す装置「シミュラクロン」がストーリーの核になっていて、宣伝文句どおりヴァーチャルリアリティを描いている。
でもこのシミュラクロンの開発目的が未来予測で、その利用方法をめぐって周囲の思惑が錯綜するあたり、安部公房の『第四間氷期』にそっくりだった。
身近な人間が消失する不条理な感覚も。

第2部になるとさらに虚と実が入り乱れて、SFというより哲学的な映画を観ているような気分になる。よく出来たフィクションはすべて、実存を揺さぶる力を持った仮説だ。
一方でもともと16mmのTV映画だからなのか、しっかりB級っぽさも感じさせてくれるのが嬉しいところ。

そしてまさかのハッピーエンドだったことに一番驚いた。(あのあとハッピーになれるとは思えないけど)

音楽も面白い。「美しく青きドナウ」が使われてるのはやっぱり『2001年』を意識したから?
電子音の多用も時代を感じさせて楽しいが、テーマ曲はFleetwood Macの「Albatross」。この曲が流れると急にロードムービーみたいな雰囲気が漂ってくる。