サミュエル・フラー「ショック集団」@早稲田松竹

『裸のキッス』の次は『ショック集団』。でも公開順は逆。
corridor

ピュリッツァー賞を目指す記者が精神病患者に成りきって、殺人のあった精神病院へ真相を探りに潜り込む。
収容されている患者たちは、朝鮮戦争の帰還兵や、追い詰められるあまり発狂して白人至上主義を唱えるようになった黒人青年などなど…。
要は当時のアメリカが抱えていた問題を、患者たちを通して描いている。
制作されたのは1963年。凄い。アメリカンニューシネマの元祖だろうか。

主人公はわりと簡単に殺人の目撃者たちを見つけていけるので、そんなにすんなりいくもんなの?と思わなくもない。
でも殺人の真相云々ははっきり言ってどうでもよくて、映画の主眼は患者たちの来歴と、主人公が少しずつ狂気に呑まれていく描写だ。

彼にしか見えない幻覚の雨が、実際に画面上に現れ、やがて病院の廊下は土砂降りと落雷に見舞われる。病院自体がセットなんだからそこに雨が降ろうが不思議でもなんでもない。でも虚構のなかにもう一つ虚構の層が出来たことを認識する一瞬、観客としてそれを眺めている自分の位置も揺さぶられる。

理性なんて簡単に壊れるもんだよ、とほくそ笑むフラーの思惑が透けて見える。面白い。

面白いんだけど、個人的にはこの映画もコンスタンス・タワーズ。
特に、ポスターにも使われている、ナイトクラブ(?)みたいなところで歌うシーンのセクシーさとB級っぽさといったら、堪りません。

サミュエル・フラー「裸のキッス」@早稲田松竹

早稲田松竹のサミュエル・フラー特集。
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3本とも観られるはずだったのに思いっきり寝過ごして『チャイナ・ゲイト』は諦めた。
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1本目は『裸のキッス』。
冒頭のシークエンスは有名らしいが不勉強で知らなかった。ただそのおかげで一気に引き込まれた。
60年代前半だから暴力描写とはいってもそこまで過激じゃない。でも前置き無しでいきなり美女が殴りかかってくれば誰だってビックリする。編集のテンポもバックに流れるジャズもカッコイイ。

主人公の(元)売春婦はコンスタンス・タワーズ。
病院で障害を持つ子供達と触れ合うときの優しい顔、仲間の看護師を夜の仕事に引きずり込もうとした女の店に殴り込みをかけるシーンの不敵な顔、どっちも惚れ惚れする。
初めて知った女優だけど一発で好きになりました。

起伏に富んだストーリーで印象的なシーンも多い。ほんの少し香るB級っぽさもいい意味での軽快さに繋がってると思う。

文句無しの傑作でした。