伏原正康「ザ・スライドショーがやって来る! レジェンド仲良しの秘密」@新宿ピカデリー

世の中にはホントにどうでもいい、誰が観るんだか知れたもんじゃないバカ映画がわんさかある(フジテレビ資本が作ってるようなやつ)。
世間一般からすれば、この映画もそんな部類だろう。それでも構わないさ。

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〈レジェンド仲良し〉。なんて恥ずかしい言葉だろう。でもお二人を形容するにはピッタリだ。

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今回もありがたいツッコミ如来。

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どこかあの温泉のカスハガを連想させるお風呂写真。一緒に撮る勇気はなかった。
入場者プレゼントは冷蔵庫に貼れるマグネットで、一枚はこの写真。もう一枚は美魔女風のお二人。一緒に行った友人のご好意で2種類揃えることができました。深謝。

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なんと舞台挨拶は撮影可能!上の写真はピカデリーの袋を伸ばして小粋なMJ。
嬉しいけど、お二人が目の前にいるのにスマホの画面越しに見るのもなんか空しいので撮影はほどほどに。

「チャンチキおけさ」の〈チャンチキ〉ってなんだよ、で盛り上がる我らがロックンロール・スライダーズ。とりあえず〈チャンチキ=fuckin’みたいなこと〉(いとう説)で落ち着く。(実際は摺鉦のことだそうな)

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いまやお約束のテープカットを前に、一斉にスマホを舞台に向ける客席。異様な光景。

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そしてテープカット。お二人は退場。

本編のほうは、スライドショー好きならつまらないはずがない。
「13」の映像が少なかったのはちょっと残念だったが、一番好きな「4」~「7」あたりのネタが多く見られて満足。

それでもWOWOWには本人達や関係者へのインタビューがまだ眠ってるはずなので、過去の公演も編集し直してソフト化なり放送なりしてほしい。
シティボーイズもそうだけど、放送したものをそのままソフト化するのは芸がないし物足りない。

「いとうせいこうフェス」も映画化して爆音上映して欲しい。

こんな早くその日が来るなんて不思議さ

夢も醒めて1週間経てば、さすがに余韻に浸っているわけにもいかない。
世界一の広いフロアに戻ろう。

当日前後のツイートを再録。

前世紀の末、小学校5年だか6年のとき、文集の〈好きなげいのうじん〉欄に「いとうせいこう」と書いた、あまりにもハイセンスなかつての親友N君は元気でいるだろうか。当時から既に二人にとって『建設的』は伝説だったのさ。
その後、自分は焼失する前の旧ジャニス2(…だったか3だったか。今の神保町シアターの向かいにあった)で旧盤CDを買ったが、彼はCD化されていることもその後の紙ジャケ化も信じなかった。今度はアナログで再発されると言ったら信じるだろうか。

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『建設的』アナログの先行販売、鈴木茂さんサイン入りトートバッグ、その上ご本人と握手。開演前なのにもうお腹いっぱいだ‼︎

高橋幸宏、鈴木茂、岡田徹のとんでもない編成で「なれた手つきでちゃんづけで」「花いちもんめ」‼︎
風街レジェンドでは佐野元春が大滝詠一、いとうせいこうフェスではもちろんいとうせいこうが大滝詠一!

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いとうせいこうフェス。最高でした。

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スライドショー13から続くみうらさんのSinceブーム。

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シティボーイズを観たことがないので「ピアノの粉末」が生で観られてとにかく嬉しい。
そして消防服の大竹さん。首吊り死体姿の細野さんの「ろっかばいまいべいびい」。
歓びのカオス。いとうさんありがとう。

東葛スポーツのネタに使われてた「社会の窓」のVTRのソースは、ひょっとして自分がYouTubeに上げた動画かも、と自意識過剰は一人悦に入る。

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早速アナログ盤の『建設的』を聴きたいが大きな音出せる時間じゃないので、「真空報告官大運動会」を観ながら余韻に浸る。

細野さん、何年か前にいとうさんと対談してコントやりたいって言ってたもんね。しかしまさか実現するとは。

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出演者は勿論とんでもなく豪華なんだけど、その影でフェス全体に通奏低音として流れているみうらじゅんのいとうせいこう愛の深さが沁みる。とことんボク宝を大切にする人だ。
並べるのはちょっとアレだけど池田貴族の生前葬もこんな感じだったのかなぁ。

『建設的』は大好きだけど、それは細野さん周辺から辿り着いたもので、結局自分はその後の日本のヒップホップにはあまり興味がない。ただそれも勿体ないのかなぁと少し思った一夜だった。
コール&レスポンスを強要してくる感じはウンザリだが、ああいう音楽はライブじゃないと良さが半減するとも思う。
さすがに生で「スチャダラのテーマ」と「今夜はブギーバッグ」を目の当たりにしたら興奮した。

どうしても大瀧さん絡みなところがあるので、『風街レジェンド』と重ねてしまうが、その『風街レジェンド』で唯一不満だったのが、はっぴいえんどや松本隆の仕事に影響された次世代のミュージシャンの参加が、『風街で逢ひませう』だけに終わったこと。
どうしてフェス自体に参加しなかったのだろう、しょこたんに孤軍奮闘させるのは可哀想じゃないか…と。

そのへんの不満が『いとうせいこうフェス』には一切ない。自分は『建設的』と同い歳だが、いつもはせいぜい80年代あたりまでの音楽しか聴かないから、岡村ちゃんもSDPもちゃんと聴いたことはない。
そういう人達の魅力を教えてくれてすごくありがたいし、新しもの好きのいとうさん人脈の真骨頂だと思う。

が、ワタナベイビーの秀逸なジングルを耳にしたら、特に「I Get Around」を下敷きにして〈君は魔法を信じるかい?〉と歌われたら、やっぱり瞬時に〈魔法さえ信じた〉というシュガー・ベイブの歌詞が思い浮かぶし、『建設的』だろうがヒップホップだろうが、その背景にあるポップ音楽の文脈に意識を向けてしまう。
ここにも大瀧詠一が出てくるのだ。

駄文は止めて、感想をまとめれば、
・ピアノの粉末ときたろうさん。
・またテレ東の出入禁止食らいそうな大竹さん。
・斉木さんどうして来てくれなかったの。
・あまりにも安斎肇らしい安斎さん。
・ゴンチチ素敵。
・岡村ちゃん人気のワケ。あとTPDのブーツ美。
・SDPはポンコツじゃない。
・サブリミナルカーム。
・ヤンさんの創る宇宙。
・ナカゴーのぬるさと「生どっち」のテレビ芸のつまらなさ。
・↑が引き立てた博士のライブ芸。
・東葛スポーツ応援するよ。
・それでもやっぱり細野さん茂さん幸宏さんには敵わない。
・いとうさんにとってのみうらさんの存在の大きさ。

2046年には死んでたいけど、それでもフェスの模様は聞けるはず。
想像ラジオー。

いとうせいこうフェス@東京体育館

『建設的』リリース30周年祝賀会、いとうせいこうフェス。2日目に参加。

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しかもアリーナの良席。

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凄すぎて何を書けばいいのかわからない。脳みそが歓びのカオス。『風街レジェンド』と同じぐらいとんでもなかった。

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夢の跡。『建設的』のアナログを先行販売してるなんて予想外。BAND WAGONのトートバッグには物販で茂さんご本人にサインをして頂いた。そのうえ握手まで!ギター弾かなきゃ。

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詳しく感想を書くと余韻が消えてしまいそうだ。まだ対象化したくない。

とにかくもうこんな宴はあと30年ないよ、きっと。

みうらじゅん&いとうせいこう「ザ・スライドショー13 みうらさん、体育館かよ!」

念願の、です。

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神々しいツッコミ如来像と「いとうせいこうフェス」のポスター。

スライドショーには苦い経験があります。2001年の武道館公演(「7」)チケットが先行予約で取れたのに、一人で行くのが億劫になって売ってしまったのです。15年前ったって15歳なんだから、一人で行くくらいなんでもないだろうと今なら思えます。ただ当時は今以上に人混みがダメだったので、どうしようもなかったのです。本当に悔しかった。

だから今回は15年越しに、ようやく念願が叶ったようなものです。
しかもアリーナの良席で観られるなんて!チケットが取れてから本当にこれだけを楽しみに生きてきた。

それこそまさに、語義通りに「あっという間」の2時間。なんとなく終電間際までやってるようなイメージを勝手に作ってたので、あまりの時間の速さに呆然としました。
これからWOWOWで観る方もいるでしょうし、スライドネタについては書きません。
とにかく最高でした。笑い過ぎてノドと肺が痛くなりました。

時事ネタはひたすら避けて避けて核心を突かないように進行するのがスライドショーの決まりですが、時期が時期だけに、ある1枚のスライドに対するツッコミでMJとSIの兄貴が「いま」を語っているような気もしました。
それは入場時にもらえた『スラスポ』も同じです。考えすぎだとは思いますが。

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『スラスポ』はいやげものとは別で、今回のいやげものはカメオブローチでした。相変わらず使えなくて素晴らしい。
その他、物販で買った扇子やミニトート、マスキングテープなど。きんちゃく袋も買えばよかった。

贅沢を言えば以前みたいに年1回開催してほしい。ネタの質を落としたくないんだろうけど、最近はみうらさん自身がネタになってるような感もあるので心配いらないような。

ビートたけし「菊次郎とさき」

殿が両親を追慕する短篇2編を収めた『菊次郎とさき』。
表紙は92年の「平成教育テレビ」でさんまさんから「たけしさんこれ僕いけないと思うよ」と言われた”だったマン”時代の写真を使用。

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志ん朝師匠のお姉さんが描いた本を思い出すような下町の人情模様で、菊次郎さんもさきさんもエキセントリックな面が強調されてはいるが愛せる下町のおじちゃんおばちゃんとして描かれている。
ただおそらく筆致をソフトにしてあるので、実際の状況は相当苛烈だったはず。
息子達からも、いわゆる〈父殺し〉の対象と最初から見なされていないような菊次郎さんが哀しい。たけしだけはそんな父に親しみを(ほんの少しとはいえ)覚えたりもしたようだが。

最期の章「北野さきさん死去」は、母親の死を客観視するためにあえてこのタイトルをつけたらしい。「浅草キッド」で深見師匠の死を新聞記事の引用で突き放して描いてみせたのを思い出す。常に自分に溺れるのを恐れている観察者としてのたけしがそこにいる。

あとがきで大さんが笑わせてくれる。種明かしすぎな気もするが。

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ビートたけし「浅草キッド」

殿の関連書の中では一番最初に読んでおくべき本を、いまさら読んだ。

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なんだかんだ言っても今の浅草は人気がある。個人的にも渋谷や新宿なんかより全然面白いし居心地のいい町だ。
たけしが芸人になった頃の浅草の廃れ具合はたぶん本書を読んでもちゃんと想像できていない。
ただまあとにかくはみ出した人達の吹き溜りだったということはよくわかる。まだ芸人に河原乞食の匂いが残っていた時代?(こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど。)

深見千三郎師匠やストリッパー達との日常が面白く、それでいて生々しく描かれる。
解説で当時の修行仲間が構成を担当していることが明かされてはいるのだが、それにしてもやはりどこか醒めていて俯瞰するような視点は北野武だと思う。

そのぶん本の終盤、マーキーを誘って新しいコントを作ろうとする芸人としての危機感溢れる文章とか、師匠に対するはにかみたっぷりの文章が効いてくるが、このへんはダイジェストとは言わないけど駆け足な感じがする。
本のメインはあくまでも前半のフランス座での修業時代なのだろう。

深見千三郎については以前「知ってるつもり」か何かで見た映像が印象に残っている。見えないように工夫していてもコント中にチラッと見えた包帯を巻いた左手と、焼死した際のアパートのニュース映像。

本書のラストも深見師匠の死である。“体中が打ちのめされた感じ”と訃報に接した際のショックを語ったあとに当時の新聞記事が引用される。本文の語り口との落差があまりにも鮮烈で生々しい。

最初にコンビを組んだマーキーは“頭が病気”になってしまったということだが、たけしとの稽古が彼をそこまで追い詰めたのだろうか。もともと繊細な人だったとはいうが、当時のたけしの芸人としての焦燥感が尋常ではなかったことの証明のようにも思える。

で、結局は兼子二郎さんと組んでやっていくわけだが、本文を読むまで裏表紙の解説文中にある〈乞食のきよし〉がきよしさんのことだと思っていた。すみませんでした。

美濃部美津子「三人噺 志ん生・馬生・志ん朝」

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志ん生師匠の次女による回想録。
「三人噺」と題されているが、著者が一番語りたかったのは母親のことではないだろうか。芸以外はとことんダメな志ん生師匠の面倒を見たり、子供達に優しく接する姿が克明に描かれている。

志ん朝師匠も馬生師匠も、当たり前だが成長するにつれ美津子さんと接する時間は減っていくので、落語家時代の話はそんなに多くない。
若い時代のモダンな志ん朝師匠と、ひたむきな馬生師匠のギャップが印象的。馬生師匠は猫好きだったようで、猫がくすぐりに出てくる噺を思い出して微笑ましくなる。

それにしても現存する志ん生師匠のテープのほとんどに美津子さんの編集の手が入っているとは知らなかった。