水曜どうでしょう「ヨーロッパ21カ国完全制覇」

金欠のときに手放してしまった『どうでしょう』のDVD少しずつ買い戻し運動。
とりあえず最初にヨーロッパ三部作を。

ヨーロッパはどれも名作だが、やっぱり最初の『欧州制覇』が一番思い入れが深い。
どん底の時期に、生きる支えのように毎週楽しみに観ていたからそれも当然。

『リターンズ』版が身体に染みついているので、『Classic』版やDVDは見覚えのないシーンが多くて楽しい。
特に『欧州制覇』は最初の2夜が45分スペシャル、『Classic』でも30分×3夜だから、30分×2夜に編集された『リターンズ』とはほぼ別物。
刷り込みは恐ろしいもので、オリジナルのほうがテンポが悪く感じられるところもある。

肝心の内容はといえば、ムンクさんや糸ようじみたいな一点集中の爆笑ポイントはないと思う。
ただ、全編を覆う高揚感は続編には無いもので、とにかくこのワクワク感が好きだ。
フランスは唯一行ったことがある国なので、そういう懐かしさもあるし、イギリスやドイツにも行きたくなってくる。

笑える企画なら他にたくさんあるが、いちばん好きな企画なら結局これかもしれない。

鈴井貴之「ダメダメ人間」/ 藤村忠寿・嬉野雅道「腹を割って話した」

『ダメ人間』に続いて『ダメダメ人間 それでも走りつづけた半世紀』を。

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こっちはミスターが文字通りミスターになってから、要は『どうでしょう』が始まって、オフィスCUEも軌道に乗ってからの話が主なので、前作ほどの深刻さはない。社長業ならではの苦労とか、韓国への映画留学に際しての悩みも、「悲惨」とは違うし。

個々の番組の裏話はあっさり描かれていて、そういう意味では物足りない。後追い(しかも本州住み)にとっては、初期の『どうでしょう』にその匂いを嗅ぎ取るぐらいしか知る術がない『モザイクな夜』あたりの話はもっと読みたい。

『水曜どうでしょう』の裏話なら、一緒に買ったディレクター陣の『腹を割って話した』のほうが面白かった。

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内輪のスタッフ同士の話は、ヘタすると寒い褒め合いになることが往々にしてある(つまんない映画のメイキングとか)。そのあたりはオーディオコメンタリーでパロディとして演じてしまうぐらいに大人なお二人なので心配無用。

ミスターの本と続けて読むと、よくこのディレクター陣(特に藤村D)とミスターが一緒に番組をやれたもんだと思う。
たぶん97〜98年頃にはぶつかることも多かったんじゃないだろうか(想像に過ぎませんが)。あの頃のミスターは、悩んでいるような寂しそうな、時には露骨に不機嫌そうな表情を、一瞬だけふっと見せることがある。
どんどん自分の意志とは違うほうに転がっていく番組を続けるのは不本意な部分もあったはず。勝手に「ミスター」のパブリックイメージも膨らんでいくし。
そのへんが吹っ切れたぶん(?)、99〜01年頃はハズレが無いどころか神懸かり的に面白いんじゃないかと個人的には思う。

D陣の本も続篇が出てるから読みたいが、まだいちばん肝心な人の本を読んでないんだよねぇ。

鈴井貴之「ダメ人間 溜め息ばかりの青春記」

テレビは嫌いだし見なくなって何年も経つが、『水曜どうでしょう』は今でも大好きだ。

関東での『リターンズ』初放送が千葉テレビで始まって、わりとすぐに出会うことができた。ザッピング中にいきなり飛び込んできたのが「闘痔の旅」の心臓マッサージだったのだから、引き込まれないほうが無理な話で、最後まで観てしまった。
当然千葉テレビの番組だと思ったが、引っ掛かったのは、〈千葉テレビなのに面白い〉ということだった。べつに千葉テレビを馬鹿にしていたわけじゃなくて、むしろ大好きだったのだけど、それはUHF局独特の番組やCMの雰囲気に魅力を感じていたからで、その垢抜けなさと『どうでしょう』ははっきり異質だった。凝りに凝った予告編を観るだけで普通の番組じゃないことは直感的にわかる。平成ガメラで一番良いのは『2』の予告編だと思っていたぐらい元ネタが好きだったので余計に。『街かどクイズ』やカネカ水産のCMとは世界が違う。

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北海道ローカルの番組だと知っても簡単には納得できない。千葉テレビでは他のローカル局の番組も放送していたが、それらもやっぱりローカル局共通の匂いは放っていた。
でも『どうでしょう』は違う。それは〈全国ネットの番組みたい〉という意味でもない。すごく独特で新しいものに感じられて、虜になった。

01年夏の放送開始から02年3月まで、千葉テレビでは『リターンズ』を日曜深夜に放送していた。それまで日曜最後の憂鬱な時間は『五木寛之の夜』を聴いていたが『どうでしょう』に引っ越した。学校が本当に辛かったので、福助が頭を下げて番組が終わり日付が変わる瞬間が、たまらなく憂鬱だった。
本当に縋るように観ていたので、今でも初期の企画(「オーストラリア」〜「カントリーサイン2」あたり)には思い入れがある。

その後も『どうでしょう』自体の終了、『ジャングルリベンジ』、千葉テレビでの『リターンズ』終了と『Classic』放送開始…と追いかけて、DVDも写真集も全て予約して買っていた。大泉さんがいいともやMステに出た時は、本当に〈見守るような〉気持ちで観た。

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『パパパパパフィー』も観てたはずだけど大泉さんの印象は無い。

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『いいとも』初出演。

ただ、熱心なファンのことを「どうでしょうエリート」と言ったりするノリが少しずつイヤになって、『どうでしょう』周辺からしばらく離れていた時期がある。
だから、ミスターが何本目かの映画を撮ったり、大泉さんやナックスの皆さんが全国区になっていった過程を全然知らない。
なので、いまだに“俳優”としてナックスの皆さんが露出しているのを見ると妙な気持ちになるし、しょうもないドラマに出たり全国放送でつまらない芸人に弄られる大泉さんは見たくない。『どうでしょう』のファンではあるけど、CUEさんのタレントのファンではないのかもしれない。

前置きが長くなり過ぎた。
要は、その『どうでしょう』から離れていた時期の大泉さん達やディレクター陣の活動をチェックしてみたくなった。
テレビは見たくもないので本を読むことに。

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ミスターのそのものズバリ『ダメ人間』。
本当の意味で息苦しくなるようなエピソードが次から次へと。苦労人なのは知ってたけどここまでだったとは。
もちろん、ミスターはダメ人間ではないし、本人が書くように〈なんの実績も無い〉ような人では決してないので、失敗談だけを敢えて並べてくれたんだと思う。そこが鈴井貴之の強さだ。

dameningen!

ミスターが30歳になるところでこの本は終わる。自分も長期的なヴィジョンを描く術を知らないまま、先々週30になってしまった。ちっとも精神的に大人になれていない。自己嫌悪まみれの毎日だし、溜め息の数はミスターより多いかもしれない。
奥様(副社)がミスターに発した言葉が自分にもザクザク刺さってくる。でもちょっと救われた。
期待していた『どうでしょう』の裏話なんかは一切無かったが、そんなことはどうでもよくなった。
早く『ダメダメ人間』も読みたい。

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