実相寺昭雄特撮オールナイト第2夜@新文芸坐

実相寺昭雄特撮オールナイト、第2夜。

『怪奇大作戦』を映画館で観られるんだから、迷う理由もない。
しかも仕事終わりじゃないから寝る心配もない。

まずは樋口尚文とアンヌ、三輪ひとみさんでトークショー。
トークの内容は置いといて、三輪さんとアンヌの綺麗なこと(アンヌは古稀らしい。嘘だろう〉。
三輪さんは表現も話し方も笑い方も素敵な人だった。でも出演作はひょっとしたら一本も観てないかもしれない。(子供の頃から『宇宙船』なんかで見ては綺麗な人だなぁと思ってたのに、出てるのがホラーばかりで怖くて観られなかったんです。ごめんなさい)

途中から中堀正夫さんも加わって、カメラマンから見た実相寺監督が語られる。でも技術的な話は少なくて、監督の人柄を偲ばせる楽しい話ばかり。
(フィルモグラフィによれば『幻の光』も中堀さんの撮影…個人的な悦び!)

他にも、円谷プロと成田亨先生の確執に関するいい話とか、『セブン』12話を解禁するなら今年しかないだろうって話とか。アンヌが語るのは予想外の話ばかりで楽しい。

12話は、問題は解決しているし出そうと思えば出せる、けど各所が遠慮しあってる(樋口さんの言葉を借りれば「非常に日本的な状況」)だけらしい。
あとはファンの後押しだけだよ、ということで盛り上げてくれるアンヌ隊員。
そう言われるともうすぐなんだろうな、って気持ちにこちらもなってくる。

中堀さんによれば、レストア済みの12話は全エピソード中でいちばん綺麗だそうだ。フィルムの劣化が少ないからだろう。嬉しいけどちょっと複雑だ。

で、『怪奇大作戦』。
4作とも何十回と観てるが、スクリーンで観るとやっぱり印象が違う。まったく粗の見えない作り込みの細かさは完全に35mmの映画並み。

実相寺演出ならではの細かい仕草によるボケもよく判る。
京都篇はアフレコじゃなくて同録だから、映画館のほうがセリフも聞き取りやすいし、なによりスクリーンが似合う。

ただ、今回の上映素材は(たぶん)DVDと同じ疑似ステレオだったようで、そこだけは不満。京都篇は特にリミックス作業で付け加えられたアンビエントノイズと、オリジナル音声との剥離が目立つ。

音響設計にも徹底的にこだわる実相寺昭雄の特集なんだから、第3夜ではぜひオリジナル音声で再上映してほしい。

次は『シルバー仮面』から5本。
CSで何本か観たことがある程度だったから新鮮。兄弟の絆を軸にした暑苦しい設定は苦手だが、シリアスなのに笑いが漏れるのは映画館ならでは。
実相寺演出は1本だけで、あとは大木淳や佐藤静夫が演出したエピソード。当時の日本現代企画周辺の尖りっぷりがビンビンに伝わってくる。

ただ、元を辿ればその尖った感性のスタッフ達も円谷プロにいたわけで、次の『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』なんかも併せて観ると、逆説的に金城哲夫という人の凄さが感じられる。


(第3次怪獣ブームの熱は感じられる。でもそれだけ。新撮カットや再録主題歌のショボさが悲しい)

大島組にいた左翼系の人達から、TBSの飯島監督や実相寺監督みたいな個性の強いディレクター陣、東宝から来た活動屋まで、職人気質だろうが作家性が強かろうが、とにかく好き勝手にやらせて、なおかつ壊れない世界観を作ってしまった。

巨大ヒーローもののフォーマットを『ウルトラマン』一本で確立してしまったのと同時に、すでにその中でアンチテーゼもパロディも批判も行ってしまった。
後になって大江健三郎がする批判や、お笑いでネタにされるようなお約束の揶揄なんか、全部自分達でやっちゃってたのだ。
これはとんでもないことだと改めて思う。

そしてやっぱり、金城哲夫は宮沢賢治だ、との思いを強くする。
唐突だが、理想を追い求める強さと繊細さ、場を作る能力や、独特の宇宙観・生命観に、似通ったものを感じてしまうのだ。

実相寺昭雄オールナイトだったのに、早朝の池袋をブラブラしながら考えたのはそんなことだったりする。