松沢呉一「魔羅の肖像」

『秋葉原事件』の次は『家族喰い』を読むつもりだったが、流石にヘビーすぎるのでやめた。免疫力が下がる。

代わりにチンマンの本を読んでいた。
松沢さんの本だから、テキトーに読み流すつもりでいるとブン殴られる。かといって眉間に皺寄せて読む本でもなかろうて。
戦後の性科学研究の流れとか、前提知識がないと読みにくい部分もなくはない。
でもこれまた大著ながら名著。チンマンは奥深い。

松沢呉一「闇の女たち 消えゆく日本人街娼の記憶」

久しぶりに面白かった本。

2部に分かれた大著。
第2部の〈日本街娼史〉も充分面白いが、第1部の街娼インタビューがその上をいく面白さ。
人生いろいろ、じん性ERO・EROだなぁとつくづく思う。

もちろん単なるエロ読み物ではなく、著者の〈個の自由のために生きた、闘った人たちのことを記録したい〉という想いの産物であるから、響いてくるものも大きい。
警察と最高裁まで争った札幌の街娼の話なんか、少し感動してしまうし、自分だったらどうなのか、と刃物を突きつけられた気分にもなる。

面白かった。インタビューをもっと読みたい。

松沢呉一「エロスの原風景 江戸時代〜昭和50年代後半のエロ出版史」

松沢呉一さんの『エロスの原風景』。手に入れたのはだいぶ前。もったいなくて少しずつ読んでいた。

ビジュアルメインのようでいて、時代風俗や印刷史にも突っ込んだ文章が面白くて、一気に読みたくなる。
あと4倍ぐらいのボリュームが欲しい。そうすれば一気に読んでただろう。

70~80年代のビニ本やスカトロ本は一見して下品で生臭そうなのに、それ以前のものになるとカストリ雑誌ですらレトロでポップに感じられるのが不思議。

特に大正~戦前に発行されたものは、エログロナンセンスが爆発していて、特別な魅力がある。それが浅薄なモダニズムだとしても、好きだ。

消えゆく紙媒体を扱う本だからして、装丁や文字組みも凝っている。
所有する悦びを充たしてくれる一冊で、しつこいけど量的に物足りない。
松沢さんの文章はWeb媒体で読めるとしても、エロ本ネタは紙媒体で続けてほしかった。

濡木痴夢男「『奇譚クラブ』とその周辺」

kitanclub

著者はSMの縄師らしい。最初のうちは読者として、そのうち編集者として携わった「奇譚クラブ」や「裏窓」周辺の話をまとめた本。
官憲側との攻防なんかも面白いが、再録されてる読者投稿のイラストがなんというか圧巻。
損得勘定抜きで、純粋に自分の欲望を追求して描かれた絵には独特の凄みがある。文庫版で1ページに何点も掲載してるからサイズは小さいけど、それでも迫力がある。

特に一章を割いて紹介されてる室井亜砂二という人の絵は凄い。〈なにかヤバイものを見てしまった〉という表現がしっくり来る。ネットで検索しても何点か絵は見つかるが、最近の作品なのか画風が少し変わってるように思えるので、そのぶん妖しさは薄れている。

他にも縛られたいSMモデル志願の女性とか、8mmでエロフィルムを撮って地下上映してる好事家とか面白い話だらけなのだが、やっぱりビジュアルのインパクトには敵わない。大きめの判型で復刻すればいいのにと思っていたら、なんと当時のバックナンバーをデジタル化して公開しているサイトがあった。本物の趣味人はかっこいいなぁ。

「あかまつ別冊 戦後セクシー雑誌大全」

松沢呉一さんの「エロスの原風景」が欲しくてAmazonマケプレをうろついてたが、予算が足りずに断念。その代わりというか検索に引っ掛かってきたこの本を入手。
強烈だ。表紙も強烈だが中身も猛毒。昔のモデルさんって実年齢プラス10歳ぐらいに見える。しかもどう見てもちょっと…な方も少なからずいらっしゃるし。
50〜60年代のものは下世話でも「レトロ」というフィルターがかかってしまうので、実は結構オシャレに見えたりする。そういう意味ではあまり面白くない。
逆に70〜80年代のものはどうしようもなく下品でダサくて寒い。表紙のコピーがいちいち寒い、というか気持ち悪い。でも面白い。

「あかまつ」はまんだらけが出していた雑誌で、1号限りで廃刊になったらしい。2号予告には「奇譚クラブ」特集とあるので、ぜひとも出して欲しかったところ。なぜかwebはまだ生きてる。
そういえば松沢さんも「エロスの原風景」の続編を…って買ってもいないヤツに言われたくないだろうな。

松沢呉一「熟女の旅」「エロ街道をゆく」

『熟女の旅』はタイトル通り、熟女好きな編集者とのちょっとした風俗紀行文。

ロリコンと熟女好きが実は本質的に同質という指摘は説得力がある。
女の子は若いほうがいいという価値観は若い頃モテなかったヤツの幻想、この説も頷ける。モテなかったヤツとしては。

面白い。面白いけどこの編集者さんの領域には辿り着けそうもない…というか辿り着きたくないかも。
凄まじいというかなんというか、人の好みとか性癖なんてホントにバラバラなんだなーと。

『エロ街道をゆく 横丁の性科学』はもっと雑多な、著者のエロ関係の連載を集めたもの。

だいたい初出から20年経っていて、バイブへの認識とか時の流れを感じる文章もある。裸でお風呂アートはいいな。芸術って言ったもん勝ちだよね。

松沢さんみたいに文字数オーバーが当たり前の書くことが趣味みたいなライターになれたら楽しいだろうな。それでも苦しいだろうけど。