円谷一編著「円谷英二 日本映画界に残した遺産」

1月25日は円谷英二監督のご命日である。
今年で没後50年。

円谷さん関連の本のなかでは基本中の基本となる一冊。
これは01年の復刻版。

特撮関係のスチールに珍しいものは少ないし、事実関係の誤りも多い。(ちゃんと正誤表が付いている)
反対に、幼年時代~戦前の写真は今でも(今だからこそ)貴重だろう。
なにより、円谷さんの没後数年のうちに、一さんが編纂して出版したという歴史的な価値はますます大きくなるばかり。
(73年のジミヘンの映画みたいなもの)

回顧上映が組まれることを期待しつつ、あらためて円谷さんに感謝。

The 特撮Collection ゴジラ (1992)

懐かしいプラモデルのデッドストックを入手。
〈The 特撮Collection〉の初代ゴジラを、『vsモスラ』公開時に再発したもの。
バトゴジの頭部と腕が新しく加えられてるだけで、他のパーツは初代ゴジラのまま。初代の頭部と腕も付属したままなので、コンパチで初ゴジとバトゴジを選べる。

このキットは爺ちゃんの家に遊びに行くと、必ずハローマックで買ってもらった、という印象があって、たぶん3~4個は作ったと思う。
最初の一体は水性塗料でピカピカの黒に塗って父親に酷評されたなぁ、たしか。

〈The 特撮Collection〉もガンプラみたいに定期的に再版がかかってたのか、新作ゴジラ絡み以外のキットも、入手しやすいロングセラーだった。

ガラモンなんかは酷かったが、ペギラとかゴモラはガレージキットを見慣れた目で見ても、デフォルメ具合と作りやすさのバランスがいい好キットだった。
ガレージキットの代わりに作るには値段も安くてちょうど良かった。箱絵もカッコ良かったし。

惜しむらくはキングギドラを買わなかったこと。
あれもなかなか好きな造形なので、もし安く手に入ったら作ってみたい。

本多猪四郎「大怪獣バラン」

『バラン』はもちろん大好きなんだけど、なぜか映画館で観る機会が無い。残念。
久しぶりに観たくなったのと、レンタル版にも特典やオーディオコメンタリーが収録されてるのを最近知ったのでDVDを借りた。

バランのシルエットと動きは一種官能的だ。
いくら中島春雄といえどもゴジラやラドンは着ぐるみを動かすのに精一杯だった感もあるし、逆にモゲラは無機的に歩いているだけだったので、バランが完成された初めての怪獣演技じゃないかと思う。
(あ、逆襲ゴジラがいたか…)
その場で回転したり首をぐるっと回したり、ものすごく生物的な動きだ。

小ぢんまりとした映画だが、そこがまたいい。
ライブフィルムの大量使用のせいで、海外のB級SFみたいな趣もある。
音楽はもちろん素晴らしいし、小粒できちんと美味しい作品だ。

本多猪四郎「メカゴジラの逆襲」

前作と同等かそれ以上にスケールが小さい。
それでも重厚な印象だから本多監督と伊福部先生の力は偉大だ。

ストーリーもシンプルなぶん、ツッコミどころも少ない。全編を覆う暗いムードがいい。
社会に居場所の無い科学者の苦悩は、第一作に通じるモチーフだ。

本多監督最後の映画である。
本多猪四郎ほどの映画監督が、晩年は黒澤さんの補佐に就くだけで自分の作品を撮らなかったのは、ご本人は満足してたのかもしれないけど、ファンとしては残念だ。

本多猪四郎「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」

『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』は子供の頃レンタルビデオで観て以来だから、二十何年ぶりの鑑賞。
全然印象に残ってないということはつまらなかったんだろう。二十何年間ずっと再見しようと思わなかったわけだし。

まあ、今観たってそんなに面白い映画じゃないけど、駄作と切り捨てることが出来ないのは、本多監督の子供への暖かい視線が本物だからか。
天本英世さんの優しい眼差しは、そのまま本多監督のそれである。

いじめられっ子、鍵っ子とはいっても、主人公はご近所さん達ともちゃんと交流があるし、まだまだ社会が正常に機能していた頃の光景が微笑ましい。
(もちろん、昔は深刻ないじめや児童虐待が無かったなんて言うつもりは無い。可視化されていなかっただけだ)

最近だと児童映画として観れば良く出来てるって再評価も多いし、その通りだと思う。
ただ、たぶん本作を楽しめるのは大人のほうで、肝心の子供達にとっては退屈だったろうとしか思えないのが、少し寂しい。

岸川靖編「東宝版フランケンシュタインの怪獣完全資料集成」

〈東宝SF特撮映画シリーズ〉でも出版されなかったフランケン二部作の、〈完全資料集成〉。
当然企画書段階の紙資料から関係者インタビューまで網羅したものと思っていたら、写真集だったのでそこは少し残念。


はじめから写真集と知っていれば充分満足のいく内容ではある。ちょっと高いけど。

判型もヨコだから、これまでの造形写真集のように見開きで写真がバッサリなんてこともない。見慣れた写真も印刷が鮮明で嬉しい。

でもやっぱり、この二部作は「研究読本」を出して欲しかった。

本多猪四郎「キングコング対ゴジラ(4Kデジタルリマスター)」@TOHOシネマズ日劇

さよなら日劇ラストショウ。
遂に観ることが出来た4Kリマスター版『キンゴジ』。

しかしこのポスターはどうなんだろう。コングが完全に添え物だ。

タイトルロゴからあまりの鮮明さに声が出そうになった。
人物の肌の色もすごく自然だが、もう少しイーストマンカラーっぽさが欲しかった気がしないでもない。
単に彩度だけを比べるなら以前観たチャンピオンまつり版のプリントのほうが発色が良い。ただ画面の情報量の前ではそんな不満も霞む。

『キンゴジ』は特撮シーンが同時期の作品に比べて弱いイメージがあったので、4K化で粗が目立たないか心配だった。
しかし目立ったのはマット合成の出来の良さ。これまで自分が持っていたイメージは、画質の悪さに因るところもあったのかもしれない。

音響も素晴らしい。
91年版LDの音が原体験になってしまっている身としては、別の映画を観てるような気分だった。画面全体から漂ってくる祝祭感が凄い。

キンゴジと伊福部音楽に目を眩まされがちだが、本多監督らしさは稀薄な作品だ。そのへんが最近は醒めてきた部分ではある。
いかにも山師的な企画といい、これは田中友幸の商品だろう。面白いけどさ。

橋本幸治「ゴジラ」@TOHOシネマズ日劇

さよなら日劇ラストショウ。
「ドラえもんナイト」終了後、なんとか時間を潰して日曜日の一本目は84ゴジラ。


駄作駄作と言いふらしながら、自分できちんと観るのは20年ぶりぐらいなんだから酷い話だ。

で、久しぶりに見た感想としては「そんなに悪くないじゃん」と。
そりゃキズは多い(中でも武田鉄矢はウザいだけで絶対許せない)が、そんなのはVSシリーズも同じだし。
ゴジラの造形自体はむしろ好きだし、演じてるのも薩摩さんだし。

〈ゴジラ復活〉に過剰な期待を持って観たリアルタイム世代がガックリしたのは解る。
でもVSシリーズで育った人間としては、そもそもこの作品がなければビオランテ以降の作品も無かったわけで、そこまで嫌いになれない。


ぶっちゃけ、シリーズ全作をランク付けしていったら『シン・ゴジラ』より上位にいるかもしれない。
シンゴジはよく出来てるとは思うけどそんなに愛せない。84ゴジラはその対極にいる。

「別冊映画秘宝 特撮秘宝 Vol.7」

狂った雑誌第7号。

中島春雄さん追悼特集は読んでくれと言うしかない。こんなに愛のこもった特集、他誌じゃ無理だろう。
関係者の言葉はどれも素敵だ。長女の園恵さんが語る父としての中島さんの姿はグッとくる。

土屋嘉男さん、橋本力さん、永田秀雄さん。
追悼ばかりなのは悲しいが、映像は永遠に遺るから寂しくなる必要はない。

通常記事ですごいのはアゴンのカラー写真。
カラーで見たって茶色一色の怪獣だが、そんな野暮なこと言っちゃいけない。

東宝特撮のサウンドトラック

『フランケンシュタイン対地底怪獣』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のサントラ。
なんとなく「そろそろ出そうだな」なんて気配は感じていたものの、実物を手に取るとやっぱり嬉しい。


ジャケットからライナーノーツ(オールカラー)まで、凝りに凝った最高のリイシュー。「最終盤」の呼称に相応しい。さすがはCINEMA-KANレーベル。
今年の再発大賞は『SGT』じゃなくてこっち。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』は、なかなかリマスターの機会にめぐまれなかったバラゴンのテーマがとにかく嬉しい。『東宝怪獣行進曲』よりも金管の荒々しさが増した感じ。
従来盤の〈東宝怪獣映画選集〉版では、権利の関係か使用されていなかったフランケンの写真も、ジャケやライナーにちゃんと復活している。


『サンダ対ガイラ』も、従来盤は〈東宝怪獣映画選集〉シリーズ。発売はちょうど20年前、1997年。
このシリーズはジャケットがカッコ良くて全部揃えたかったが、小学生にそんなマネが出来るわけもなく。
それでも『サンダ対ガイラ』だけは買ったのだが、金欠のときに売ってしまった。今は後悔しかない。

リッピングしたデータ自体は残っているので、何曲か聴き比べてみる。
劇的な音質向上はないが、20年分のテープ劣化も感じさせないのは嬉しい。
97年盤には予告編が、今回の盤には「The Word Gets Stuck In My Throat」の参考音源が収録されてるのが主な違い。

収録音源の差は置いといて、ライナーノーツはどちらも詳細で、97年盤の森田吾一氏インタビュー、17年盤の宣材類や検討稿解説は独自の内容。
だから今回の再発で97年盤の価値が下がることは無いと思う。いつか買い戻してやる。

東宝ミュージックのサントラ盤は、いまのところ2枚しか持っていないが、少しずつ集めたい。


このシリーズもジャケは素晴らしい。『地球防衛軍』と『宇宙大戦争』の2枚組。


『海底軍艦』『マタンゴ』の2枚組。

ただちょっと残念なのは、マスターテープの経年劣化を補うためか、音の輪郭を若干強調してマスタリングされている印象があるのと、左右に広がるリヴァーブがかけられていること。このリヴァーブも東宝盤では80年代からの伝統みたいだが、当時とは意図が違うだろう。
悪い出来ではないけど、できれば原音のままモノラルで収録して欲しかった。
難しそうだけどCINEMA-KANから「最終盤」としての再リリースを期待。